事業構想の第一歩は、魅力的なビジネスアイデアを見つけることです。では、そもそもビジネスアイデアは、どのようなところから生まれてくるのでしょうか?

皆さんこんにちは!事業構想×生成AI活用アドバイザー(中小企業診断士)の津田です。

前回(第2回)は、事業構想における生成AI活用の基本として、5つの主要タスク、タスクに応じたAIモデル/ツールの使い分け、そしてAIの能力を引き出すためのプロンプトの基本原則と15の高度なテクニックをご紹介しました。

今回はビジネスアイデアの発見を生成AIでサポートする方法についてご紹介します。

ビジネスアイデアの主な源泉としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 環境変化

社会情勢の変化(例:働き方改革、SDGsへの関心)、技術革新(例:AI、IoTの進化)、法改正、人々のライフスタイルの変化(例:健康志向、オンライン化)などは、新しいニーズやビジネスチャンスを生み出します。

  • ギャップ(未充足ニーズ)

市場に存在するけれど、まだ十分に満たされていない顧客の欲求や、既存の商品・サービスでは解決できていない不便さ・不満。競合が見落としているニッチな領域も含まれます。

  • 消費者の声(不満・要望)

顧客レビュー、SNSでのつぶやき、アンケート結果、直接のクレームや要望など、顧客の「生の声」の中には、具体的な「不便」「不満」「不快」(いわゆる「不」の存在)や「こうだったらもっと良いのに」という改善のヒントが隠されています。

  • 問題意識

自分自身や身近な人が日常で感じている課題、あるいは社会全体が抱える大きな問題(例:環境破壊、少子高齢化、地域格差)を「解決したい」という強い想い。自分自身が生活するうえで困っていて満足行く解決策がないなどの不満が原動力となるなど。

  • トレンド

ファッション、食、エンターテイメント、テクノロジーなどの分野における流行や、世の中の人々の関心の高まり。これらに乗る、あるいは先取りすることでアイデアが生まれます。

  • 自身の経験・情熱・強み

自分の趣味や特技、過去の職務経験、専門知識、あるいは「これが好きでたまらない!」という情熱が、独自のビジネスアイデアの源泉となることも少なくありません。

  • 技術シーズ

新しい技術や発明(シーズ)を「何かに応用できないか?」という視点から考えるアプローチ

多くの場合、これらの要素は単独ではなく、複数組み合わさることで、ユニークで実現可能性のあるビジネスアイデアへと発展していきます。

では、これらの多様な源泉からアイデアの種を見つけ出すプロセスを、生成AIはどのようにサポートできるのでしょうか?

  • 情報収集・分析の加速

環境変化やトレンド、競合動向、消費者の声(レビュー、SNS)といった膨大な情報を、AIは人間よりも遥かに速く収集・分析し、要約や傾向の抽出を行ってくれます。(→ ステップ1で詳述

  • 発想の壁打ち・拡張

自身の問題意識や経験、あるいは収集した情報をもとに、AIに対して「この課題を解決するアイデアは?」「この技術を応用できないか?」「このトレンドからどんなビジネスが考えられる?」といった問いかけをすることで、多様な視点からのアイデア出しや、発想の拡張をサポートしてくれます。(→ ステップ2で詳述

  • 仮説生成

「もし〇〇という環境変化が起きたら、どんな新しいニーズが生まれるだろうか?」

「この顧客層が抱えている隠れた不満は何だろうか?」

といった問いに対し、AIはデータに基づいた推論や創造的な想像力で仮説を提示し、アイデア発見のきっかけを与えてくれます。

このように、生成AIはアイデアの源泉となる情報を効率的に収集・分析し、さらに人間の思考を刺激して発想を広げるための強力なパートナーとなり得ます。

さて、今回は事業構想の実践編の第一歩のアイデア発見がテーマです。

事業構想の最初のステップであり、最もワクワクするプロセスの一つでもある「ビジネスアイデアの発想」に焦点を当て、生成AIをどのように活用して、新たなビジネスの種を見つけ、育て、そして具体的な言葉にしていくのかを探求します。

優れたビジネスアイデアの多くは、人々が抱える「課題(ペインポイント)」の解決や、まだ満たされていない「欲求(アンメットニーズ)」に応えることから生まれます。

つまり、アイデア発想の第一歩は、世の中にある課題や機会を発見することです。

次に、アイデアの創出、アイデアの種の言語化、アイデアの種の発散、評価と絞り込み、アイデアの言語化まで生成AIを使って行う方法について説明します。

ビジネスアイデアを得るためにどのようにAIを活用できるのか、以下に例を示します。

活用例1:市場のトレンドや社会課題からヒントを得る

目的

自分の関心分野や業界における最新トレンド、社会的な課題、技術動向などを幅広く把握し、ビジネスチャンスの種を探る。

活用AI/ツール例

Gemini 2.5 Pro (Deep Research機能)

最新情報へのアクセスと深掘り調査に強み。広範な情報を網羅的に収集・分析し、レポート形式でまとめてもらうのに適しています。PDFなどのドキュメント分析も可能。

Perplexity

対話形式で情報源を確認しながら、特定のテーマに関する最新ニュースや専門家の意見を効率的に収集できます。

プロンプト作成のポイント

(1)調査対象の明確化

どの業界、地域、技術、あるいは顧客層に関するトレンドや課題を調べたいのかを具体的に指定します。対象を絞ることで、AIは関連性の高い情報に集中でき、一般的すぎたり的外れだったりする回答を防ぎます。

書き方の例

「国内の食品ロス問題について」「千葉県松戸市における子育て支援サービスの動向」「AIを活用したヘルスケア技術の最新トレンド」「Z世代の消費行動の変化」  

(2)調査観点の指定

トレンドや課題の中でも、特に何を知りたいのか(技術動向、消費者意識、規制、社会的な影響、競合の動き、新たなビジネスモデルなど)を明確に示します。

書き方の例

「技術的なブレークスルー」「消費者の価値観の変化」「関連する法規制の動向」「SDGsとの関連性」「スタートアップ企業の新しい取り組み」「市場規模の変化」

これにより、AIは必要な情報を取捨選択し、より深い分析を提供しやすくなります。

(3)時間軸の設定

「最新の」「直近1年間」「2025年以降」「過去5年間」など、情報を知りたい期間を指定します。市場は常に変化するため、時間軸を明確にすることで、情報の鮮度を保ち、適切な文脈で理解することができます。

書き方の例

「直近6ヶ月の動向」「2024年から現在までの変化」「今後3年間で予測されるトレンド」

(4)情報源・信頼性への要求

(特にPerplexityなど情報源提示が得意なAIで有効) 回答の根拠となる情報源(公式サイト、業界レポート、信頼性の高いメディア、学術論文など)を具体的に示すよう要求します。

書き方の例

「回答には必ず信頼できる情報源(URLなど)を付記してください」「公的機関の発表や主要メディアの報道を基に回答してください」

これにより、ハルシネーションのリスクを低減し、情報の信頼性を高めます。

(5)アウトプット形式の指定

回答をどのような形式(レポート、箇条書き、表形式、SWOT分析など)で出力してほしいか指定します。後で自分が情報を整理したり、資料に活用したりしやすくなります。

書き方の例

「箇条書きで5つのポイントにまとめてください」「メリットとデメリットを表形式で示してください」「SWOT分析の形式で整理してください」

(6)役割設定

AIに特定の専門家(市場アナリスト、技術コンサルタント、社会学者など)や、特定の思考様式を持つ役割(楽観的な起業家、慎重な評論家など)、あるいはターゲット顧客像(ペルソナ)そのものを与えることで、その視点に基づいた分析や洞察を引き出すことができます。

※アドバイスを求めるなら専門家、タスクの実行なら実務家的な役割が良いです。


書き方の例

「あなたは経験豊富なベンチャーキャピタリストです」

「あなたは環境問題に詳しいジャーナリストです」

「あなたは消費者行動心理学の専門家です」

「あなたは都内在住、30代の子育て中のワーキングマザーです」

「あなたは非常に慎重なリスク管理者の視点で答えてください」

回答のトーンや焦点が定まりやすくなります。「どんな人に答えてほしいか」「どんな視点からの回答が欲しいか」を考えて設定しましょう。

(7)絞り込み条件

全体的な調査結果の中でも、特に焦点を当てたい部分(例:小規模事業者の機会、特定の地域における状況、特定の技術の影響)があれば、追加で指示します。
 
 
 

書き方の例

「特に中小企業にとってのビジネスチャンスに焦点を当ててください」

「〇〇技術が与える影響について詳しく教えてください」

「地方都市における事例を中心に紹介してください」

広範な情報の中から、自分にとって最も重要な情報を効率的に得られます。

プロンプトテンプレート例

【Gemini Deep Research向け テンプレート】

【Perplexity向け テンプレート】

活用例2:顧客の「不満の声」からニーズを探る

目的

特定の商品カテゴリやサービスに対する顧客のレビュー、SNS上のコメント、フォーラムでの議論などを分析し、具体的な不満点や改善要望、潜在的なニーズを発見する。

■活用AI/ツール例

Claude 3.7 Sonnet / Gemini 2.5 Pro

長文のテキストデータ(レビューや議論のスレッドなど)を読み込み、文脈を理解した上で、顧客の感情や本音を抽出・要約するのが得意です。音声データの分析も可能(Gemini)

・GPT-4o

抽出した不満点を構造化し、共通するパターンや根本的な課題を分析するのに適しています。

■プロンプト例 (Claude / Gemini 向け)

活用例3:多角的な情報源から機会を探る

目的

ニュースや顧客の声だけでなく、より多様な情報源からビジネス機会のヒントを得る。

活用AI/ツール例: Gemini 2.5 Pro, Perplexity, GPT-4o/o3 (情報収集、分析、要約が得意なモデルを組み合わせる)

情報収集の切り口とプロンプト例

(1)競合・先進企業の動向分析

(2)業界レポート・白書の深掘り: (PDFをアップロードできるGeminiなどが有効)

(3)特許情報・学術論文の調査: (専門知識が必要な場合、役割設定を工夫)

(4)求人情報の分析

(5)公的統計データ・政府発表の分析

(6)海外事例の調査(Feloを使うとクロスランゲージ検索してくれるので便利です)

【重要】リサーチ結果を深掘りする:深堀りプロンプトの活用

これらのリサーチプロンプトを実行してAIからレポートや分析結果を得たら、それで終わりではありません。

その情報を鵜呑みにせず、さらに深く理解し、批判的に検討するために、第2回で紹介した「深掘りプロンプト」を活用しましょう。

例えば、AIが生成したレポートを読んだ後に、次のような問いかけで対話を続けます。

  • 「レポートの中で特に重要だと指摘されている『〇〇(特定のトレンドや課題)』について、なぜそれが重要だと考えられますか?具体的な根拠をもう少し詳しく教えてください。」
  • 「提示されたビジネス機会『△△』について、実現する上での最大の障壁は何だと考えられますか?」
  • 「この分析結果を踏まえて、他に考慮すべき視点や、見落としている可能性のある重要な要素はありますか?」
  • 「もし[特定の条件、例:競合が新しい技術を導入したら]という状況になった場合、レポートで述べられているトレンドや機会はどのように変化すると考えられますか?」

このように対話を重ねることで、AIの回答の背景にある論理や根拠を確認し、情報の信頼性を吟味し、より深い洞察を得て、次のアイデア発想ステップへと繋げることができます。

これらのリサーチを通じて、「こんなことで困っている人がいるんだ」「ここにまだ解決されていないニーズがあるかもしれない」といった、具体的なアイデアの出発点を見つけることができます。

ステップ1のリサーチや分析を通じて、「こんな課題があるのか」「ここに機会がありそうだ」といった『アイデアの種』がいくつか見えてきたはずです。

次のアイデア発散ステップに進む前に、これらの『種』を一度言語化し、整理しておくことをお勧めします。

なぜなら、頭の中だけで捉えていると曖昧なまま忘れ去られたり、後でチームメンバーと共有しにくくなったりするからです。

言葉にすることで思考がクリアになり、後のアイデア発想(ステップ2)や評価(ステップ3)の土台がしっかりします。

言語化・整理のためのフォーマット例

1.課題/機会リスト(シンプル版)

発見した事象/課題考えられるニーズ/機会対象となりそうな人情報源
例:レビューサイトで「オンライン語学学習はモチベーション維持が難しい」という声が多い学習継続を支援する仕組み、ゲーミフィケーション要素オンライン語学学習者(特に初心者)〇〇レビューサイト、△△業界レポート

メリット: 収集した“気付き”を迅速に並べられる。後工程で取捨選択しやすい。

2.インサイトメモ

Finding(発見)Implication(示唆)Hypothesis(仮説)
例:競合A社の求人でAIエンジニア募集が急増AIを活用した新サービス開発へ舵を切っている可能性当社もAI活用を急がないと遅れる。AIを使った〇〇サービスに商機があるのでは?

3.「How Might We…?」ステートメント

HMWステートメントの書式具体例
どうすれば私たちは【対象者】のために【課題/ニーズ】を解決/満たす【具体的アクション】ができるだろうか?どうすれば私たちは、モチベーションが続きにくいオンライン語学学習者のために、ゲーム感覚で楽しく学習を継続できる仕組みを提供できるだろうか?

メリット: 1・2で得た課題を“前向きな問い”に変換し、そのままブレインストーミングのお題にできる。

AIによる言語化・整理サポート

この言語化・整理作業も、AIに手伝ってもらうことができます。

プロンプト例(課題/機会リスト作成支援)

プロンプト例(How Might We…? 作成支援)

どのフォーマットを選ぶにしても、重要なのは、ステップ1で見つけた「気づき」を、自分やチームが後で見返して理解でき、次のアクションに繋げられる形で記録しておくことです。

この整理された『アイデアの種』が、次のステップでの豊かな発想の土壌となります。

課題や機会が見えてきたら、次はその解決策となるアイデアを自由に、そして大量に発想する「発散フェーズ」です。

ここでは、AIを創造的なブレインストーミングパートナーとして活用しましょう。

第2回で紹介した高度なプロンプトテクニックも活きてきます。

活用例1:多様な切り口でブレストする

目的

SCAMPER法、アナロジー思考、逆転思考など、様々な発想フレームワークを活用し、多角的な視点からアイデアを強制的に生み出す。

活用AI/ツール例

GPT-4o, Gemini 2.5 Pro (柔軟な発想、指示理解力が高いモデルが適任)

テクニック

コンセプト拡張プロンプト, アナロジー思考プロンプト, 逆転思考プロンプト

プロンプト例 (SCAMPER法)

SCAMPER法とは

アイデア発想のためのフレームワークの一つで、既存のアイデアや製品に対し、7つの視点(Substitute: 代替、Combine: 結合、Adapt: 応用、Modify: 修正、Put to another use: 他の使い道、Eliminate: 除去、Reverse: 逆転)から質問を投げかけることで、新しいアイデアを生み出す手法です。

プロンプト例 (アナロジー思考)

アナロジー思考とは

ある課題や状況に対し、全く異なる分野の事例や概念との構造的な類似点(アナロジー)を見つけ出し、そこからヒントを得て新しいアイデアや解決策を発想する思考法です。

固定観念を打ち破り、斬新な視点をもたらす効果があります。

活用例2:AIとの自由な対話でアイデアを広げる

目的

特定のテーマについて、AIと自由に対話を重ねる中で、予期せぬ発見やアイデアの連鎖を生み出す。

活用AI/ツール例

Claude 3.7 Sonnet (自然な対話、壁打ちが得意)/Gemini2.5 pro/ChatGPT 4o

テクニック

深掘りプロンプト, コーチング / ソクラテス式問答プロンプト

プロンプト例

この発散フェーズでは、質より量を重視し、AIと共にできるだけ多くのアイデアの種を生み出すことを目指しましょう。

アイデア生成を支援する他のAIツールも、このフェーズで役立つ可能性があります。

たくさんのアイデアが出たら、次はそれらを評価し、有望なものに絞り込む「収束フェーズ」です。

ここでもAIは、客観的な分析や多角的な視点を提供してくれます。

活用例1:評価基準に基づきアイデアを分析・スコアリング

目的

事前に設定した評価基準(例:市場性、実現可能性、独自性、収益性、自社の強みとの整合性)に基づき、各アイデアを客観的に評価し、比較検討する。

■活用AI/ツール例

GPT-4o, o1/o3, Gemini 2.5 Pro (論理的な分析、複雑な指示の理解、高度な推論が得意なモデルを選択)

■プロンプト例

活用例2 多角的な視点からアイデアを批判的に検討

■目的

一つのアイデアに対して、異なる立場からの意見や潜在的なリスク、弱点を洗い出し、より深く検討する。

■活用AI/ツール例

GPT-4o, Claude 3.7 Sonnet, Gemini 2.5 Pro

■テクニック

役割演技プロンプト, 逆転思考プロンプト, 自己修正・自己批判プロンプト, リフレクションプロンプト(自己評価・批判の側面を活用)

■プロンプト例 (逆転思考)

プロンプト例 (リフレクション活用)

これらの評価プロセスを通じて、単なる思いつきではない、より実現可能性と成功確率の高い有望なアイデアへと絞り込んでいきます。

有望なアイデアが見えてきたら、最後はその核心を捉え、他者に魅力的に伝えられるように「言語化」するステップです。

活用例1:コンセプトステートメントの作成

目的

アイデアの「誰の、どんな課題を、どのように解決するのか」という本質を、簡潔かつ明確な文章(コンセプトステートメント)にする。

■活用AI/ツール例

Claude 3.7 Sonnet, GPT-4o, Gemini 2.5 Pro (文章生成・要約が得意なモデルを選択)

■テクニック

Few-shotプロンプト (望む形式を例示する)

■プロンプト例

活用例2:エレベーターピッチの草稿作成

■目的

短い時間(エレベーターに乗っている間)でアイデアの魅力を伝えられるような、簡潔な説明文(エレベーターピッチ)の草稿を作成する。

■活用AI/ツール例

Claude 3.7 Sonnet, GPT-4o, Gemini 2.5 Pro

■プロンプト例

活用例3:アイデア概要のドキュメント化

■目的

ここまで検討してきたアイデアの背景、コンセプト、ターゲット、提供価値などを整理し、簡単な企画概要書としてまとめる。

■活用AI/ツール例

Gemini 2.5 Pro (Google Workspace連携などを活用し、ドキュメント作成を支援), Claude/GPT-4o (構成案作成、文章整形)

プロンプト例 (構成案作成)

この言語化プロセスを通じて、アイデアはより具体的で共有可能な形となり、次のステップ(顧客理解やビジネスモデル構築)へと進むための土台ができます。

【重要】ツール間の出力結果を活用した連携

この連携をさらに効果的にするのが、あるAIツールで得られた出力結果(例:Geminiの調査レポート、Claudeのブレストリスト)を、次のステップで別のAIツールに入力するプロンプトの「材料(コンテキストや分析対象データ)」として直接活用することです。

例えば、ステップ1でGeminiが生成した市場トレンドレポートをコピーし、ステップ2でClaudeに「このレポートで指摘されているトレンドを踏まえて、新しいサービスのアイデアをブレストしてください」と指示します。

このようにツールの出力を次の入力に繋げることで、思考プロセスが断絶せず、より文脈に沿った、質の高いアウトプットを効率的に得ることができます。

もちろん、これは一例であり、ご自身の好みや使い慣れたツール、あるいはタスクの具体的な内容(例:非常に長い資料の読解が必要ならGeminiやClaude、複雑な数値計算を含む分析ならGPT系など)に合わせて柔軟に組み合わせることが可能です。

重要なのは、各ツールの強みを理解し、目的に応じて使い分ける意識を持つことです。

今回は、事業構想の最初のステップである「ビジネスアイデアの発想から言語化まで」において、生成AIをどのように活用できるか、具体的なステップとプロンプト例を交えてご紹介しました。

AIは、私たちだけでは見つけられなかったかもしれない課題を発見する手助けをし、固定観念を打ち破るような斬新なアイデアの種を与え、客観的な視点でその可能性を評価し、そしてそれを魅力的な言葉にするプロセスを強力にサポートしてくれます。

しかし、忘れてはならないのは、AIはあくまでパートナーであり、最終的にどのアイデアを選び、情熱を注ぎ、実現に向けて行動を起こすかは、あなた自身が決めるということです。

さあ、今回ご紹介したテクニックを使って、あなたの頭の中にあるビジネスの種を、AIと共に育ててみませんか?

次回は、【第4回】「顧客解像度を爆上げ!AIによる顧客セグメント・ペルソナ分析術」です。

あなたのアイデアが「誰のためのものなのか?」をAIと徹底的に掘り下げ、顧客理解を深める方法を探求します。どうぞお楽しみに!

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