
経営者にとって、事業構想の核心は「顧客にとって本当に意味のある価値をつくれるかどうか」です。
しかし、自社の都合や既存の仕組みにとらわれると、顧客の真の課題を見失いがちです。
皆さんこんにちは!事業構想×生成AI活用アドバイザー(中小企業診断士)の津田です。
今回はそんな時に役立つ デザインシンキング(顧客の立場に立ち、共感から始めて創造につなげる考え方です。)をご紹介します。
1. デザインシンキングとは
デザインシンキングとは、「人間中心」で課題を捉え、創造的に解決策を生み出すプロセスです。
代表的なステップは以下の5つ
- 検証(Test):実際に顧客に試してフィードバックを得る
- 共感(Empathize):顧客を深く理解する
- 問題定義(Define):顧客の本質的な課題を明確化する
- 発想(Ideate):多様なアイデアを広げる
- 試作(Prototype):小さな形にしてみる
2. 経営で役立つ場面
- 新規事業開発:机上の空論ではなく、顧客の声を基点に構想を固められる
- 商品改善:既存サービスの「不満」や「使いづらさ」を掘り下げる
- 組織活性化:社員の体験に基づいて業務フローを改善する
3. ケーススタディ:宅配サービスの改善
ある飲食店が宅配サービスを展開していましたが、顧客満足度が低迷していました。- 従来のアプローチ:
- 配送時間を短縮
- メニュー数を増やす
- 値下げを検討
- デザインシンキング的アプローチ
- 顧客に直接インタビューして共感 → 「受け取りが面倒」「温度が下がっている」などの声
- 問題定義 → 「スピード」よりも「受け取りやすさ」と「品質保持」が課題
- 発想 → 「置き配専用容器」「保温バッグごと貸し出す」などの案
- 試作・検証 → 小規模に実験して顧客に試してもらい、好評だった仕組みを拡大
結果として「他にはない便利さ」が差別化ポイントになり、売上増につながりました。
4. ChatGPTでの活用法
デザインシンキングは顧客理解が肝心ですが、その補助としてChatGPTを活用できます。活用例
- 顧客インタビューの質問設計「この新サービスの顧客インタビューで聞くべき質問を5つ考えてください」
- ペルソナの仮想生成「30代子育て世代が宅配サービスを使うときの課題をペルソナとして描いてください」
- アイデア発想の支援「この課題に対する異業種的な解決策を挙げてください」
- プロトタイプのストーリー化「新サービスを使う顧客体験を、利用開始から終了までストーリー形式で描写してください」
5. 実践のための問いかけ
- 顧客はどんな状況で、何に困っているのか?
- 顧客が本当に欲しいのは「機能」なのか、それとも「体験」なのか?
- 小さく試すとしたら、どんな形で検証できるか?
- ChatGPTに顧客の視点で答えさせたら、どんな気づきが出るか?
おわりに
デザインシンキングは、アイデアを「顧客の現実」とつなげるための強力な思考法です。
経営者が共感から始めることで、顧客に選ばれ続ける事業を構想できます。
ChatGPTを併用すれば、インタビュー設計、仮想ペルソナ生成、アイデア発想などを効率化でき、実践がスピーディーになります。
ぜひ次の新規事業や商品改善の際に、顧客の声を起点に考えるプロセスを取り入れてみてください。