同じ提案書を全員に出しても成約率は上がりません——答えは資料のデザインではなく、「相手の課題から始まるストーリー設計」にあります。Claudeで課題仮説・提案ストーリー・想定問答の3ステップを実践する方法を、中小企業診断士が解説します。
皆さんこんにちは!AIコンサルタント(中小企業診断士)の津田です。
今回は、商談はあるのに成約につながらない——その根本にある提案ストーリーの問題と、Claudeを使って「相手別提案」を組み立てる具体的な方法を解説します。
「提案はしているけど、刺さっていない気がする」。
商談の数はある。提案書も毎回出している。それなのに、返ってくるのは「検討します」と、しばらくしてからの丁寧なお断り。何が悪かったのか、相手は教えてくれません。だから直しようがない——そんな感覚はないでしょうか。
支援現場からの実例:私が支援したある建築事務所では、受託の仕事で成長してきたため、自ら企画したサービスを「どう提案して売るか」の経験がほとんどありませんでした。AIで考えを整理して事業の方向性を短期間で固め、提案書づくりに加えて、AIを相手にした提案のロールプレイングまで行って商談に臨む形をつくりました。
「提案力」の正体は、資料の出来ではない
これは、成約率(商談が受注に変わる割合)の課題です。
決まらない提案には共通点があります。自社の説明から始まっていて、相手の課題から始まっていないこと。同じ提案書を全員に出しているなら、それは「相手の課題の仮説を立てていない」ということでもあります。
刺さる提案は「相手の課題→解決策→根拠→投資対効果」の順で組み立てられています。資料のデザインではなく、ストーリーの設計の問題です。
取りこぼしは「見えない機会損失」になる
成約率の低さは、売上の数字に直接は出てきません。失注した案件は記録に残らないことが多いからです。同じ商談数でも取りこぼしが続けば、見えないところで機会損失が積み上がります。そして決め手を示せない提案は、最後は価格の比較に流れていきます。
中小企業基盤整備機構の調査(2026年3月公表)では、中小企業のAI導入率は20.4%、AIを導入済みの企業では約6割が営業・販売・サービス部門で活用しています。提案づくりにAIを使う会社は、もう珍しくありません。
出典:中小機構「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査」 調査レポート(PDF)
Claudeで「相手別ストーリー」と想定問答をつくる
ステップ1:相手の課題仮説を立てる
商談相手の業種・規模・Webサイトの情報をClaudeに渡し、「この会社が困っていそうなことを5つ挙げて」と頼みます。AIの出力はあくまで仮説です。ただ、仮説があれば、商談の場で確認すべき質問が決まります。
ステップ2:提案ストーリーを組み直す
立てた仮説をもとに、「課題→解決→根拠→投資対効果」の順で既存の提案書を組み直させます。中身が同じでも、語る順番が変わると、相手の受け取り方は変わります。
ステップ3:AI相手に想定問答をする
「この提案を受け取る側になって、厳しい質問をして」と頼むと、Claudeが商談相手役になります。支援の現場でわかったことがあります。多くの方は「完璧な指示をしなければ」と構えて、そこで止まってしまう。実際は、この程度の頼み方で十分動きます。
今日できる小さな一歩
直近で失注した商談を1件思い出し、「あの会社の本当の課題は何だったか」を一行で書いてみてください。すぐに書けなければ、提案が刺さらなかった理由はそこにあるのかもしれません。
自社の提案を相手別に組み直してみたい方は、無料相談をご活用ください。提案の構造を一緒に見直します。
よくある質問
Q. 「相手別ストーリー」の提案と通常の提案書は何が違うのですか?
通常の提案書は「自社の説明→サービス内容→価格」の順になりがちです。「相手別ストーリー」は「相手の課題→解決策→根拠→投資対効果」の順で組み立てます。同じ内容でも、語る順番が変わるだけで相手の受け取り方が大きく変わります。相手の課題から入る提案は、「自分のことをわかってくれている」と感じてもらえます。
Q. Claudeに提案書を組み直すよう頼むとき、どんな指示をすればよいですか?
「この提案書を、相手の課題→解決策→根拠→投資対効果の順に組み直して」と伝えるだけで十分です。提案先の会社名・業種・Webサイトの情報を先に渡しておくと、課題仮説の精度が上がります。多くの方は「完璧な指示をしなければ」と構えてしまいます。実際はこの程度の頼み方で十分動きます。
Q. 提案が「検討します」で終わる場合、どこを改善すべきですか?
まず確認すべきは「提案が相手の課題から始まっているか」です。同じ提案書を全員に出している場合、相手の課題の仮説を立てていないことになります。失注した商談を1件思い出し、「あの会社の本当の課題は何だったか」を一行で書いてみると、課題設定のずれが見えてきます。決め手を示せない提案は最終的に価格の比較に流れます。