中小企業がAI活用を進めるなら、「ツールを教えてくれる人」より「経営ごと見てくれる人」に相談するのが近道です。このページでは、私が実際に支援してきた現場の事例と、よくある誤解・進め方のコツを整理しました。
皆さんこんにちは!事業構想×生成AI活用アドバイザー(中小企業診断士)の津田です。
今回は「中小企業診断士にAI活用を相談するとどう変わるのか」について、現場でよく聞かれる疑問も含めながら、具体的に解説します。
ポイント:「何のためにAIを使うか」を整理できる人と一緒に進めることが、AI活用を成功に導く最大のカギです。ツールの習得より、目的の言語化が先です。
こんな支援をしています
食品会社:自社商品のコピー作成
ペルソナの明確化からコミュニケーション戦略の策定まで伴走し、メディアごとのコピーをAIで生成しました。食品・健康系では薬機法への配慮が必要なため、法的グレーゾーンを避けながら魅力的な表現を引き出すプロンプト設計が重要なポイントでした。
建築会社:新規事業の海外展開支援
新規事業構想の策定から、海外市場調査、アポイント先リストの作成、Webマーケティングの設計まで、一連のプロセスにAIを組み込みながら進めました。人手とコストがかかる調査・資料作成フェーズを大幅に効率化できた事例です。
製造業:営業データ分析と人材採用
これまで活用しきれていなかった営業データの分析、既存顧客のフォロー方法の検討、採用ページの作成、業務の洗い出しと整理など、複数の課題を並走して支援しました。「眠っていたデータ」から、これまで気づかなかった顧客パターンや営業の傾向が見えてきたのは、経営者にとっても大きな発見だったようです。
研修会社:新規事業とブランディング
新規事業の構想策定とブランディングの方向性検討に活用。外部コンサルタントに依頼すると高額になりがちな領域を、AIを使いながら自社で思考を深めるプロセスとして設計しました。
その他の支援領域
- 事業計画・事業構想の策定 — アイデアを言語化・体系化する
- 営業提案書の作成 — 伝わる資料をスピーディに
- 業務の洗い出しと分析 — どこからAIを入れるか整理する
支援を受けた方から寄せられた声
実際に支援を通じてAIを活用し始めた方々から、こんな言葉をいただいています。
「業務の品質向上」「スピード」「データ活用」「視野の拡大」——そして「日常の小さな楽になった」という声まで、効果の出方は人によってさまざまです。共通しているのは、「自分の仕事の文脈でAIが使えるようになった」という実感です。
業務を知っている人がAIを使うと化学反応が起きる
支援を通じて強く感じるのは、その業務を一番よく知っている人がAIを使うと、想像を超えた使い方が生まれるということです。
ある大手プラットフォーム会社では、2年目の非エンジニアの方が、自分の担当業務をAIを活用してシステム化し、部門全体の業務効率化に大きく貢献しました。「エンジニアでないと無理」という思い込みが、業務への深い理解によって突き破られた事例です。
また、経営者の方がこれまで手をつけられなかった自社データを分析したことで、これまで感覚で捉えていた顧客パターンや営業傾向が数字として見えてきた、というケースも複数あります。「データはあったが、分析する余裕がなかった」という中小企業は多く、AIはそのボトルネックを解消する手段として機能します。
現場の観察:AIは「技術を知っている人」より「業務を知っている人」が使うほうが、成果が出やすい。マニュアルを覚えるより、自分の仕事を言葉にできるかどうかが鍵です。
よくある誤解とつまずきポイント
「プロンプトの書き方を覚えればいい」は半分だけ正しい
AI活用の相談でよく見かけるのが、「プロンプト(AIへの指示文)のテクニック」や「ツールの操作方法」から入ろうとするケースです。それ自体は悪くないのですが、AIの出力が使えるレベルになるかどうかは、自分が何を求めているかを言語化できるかどうかにかかっています。
「何を、なぜ、どんな形で欲しいのか」を明確にする力——いわば要件定義力——が実はAI活用の核心です。私が支援する際も、ツールの使い方より先に「何を解決したいのか」を一緒に整理することに時間をかけます。
セキュリティが心配で前に進めない
「社外にデータを出すのが怖い」というご相談も多くいただきます。これは大切な視点ですが、過度に恐れる必要はありません。
現在、ChatGPT・Claude・Geminiなどの主要AIツールにはEnterprise版があり、入力したデータがAIの学習に使われない仕様になっています。セキュリティ基準(SOC2など)も取得済みです。
企業メールをGmailやMicrosoft 365で使うこと、ファイルをクラウドストレージに保存することと、リスクの考え方は基本的に同じです。すでにそれをやっているなら、Enterprise版のAIツールを使うことも同じ文脈で整理できます。
基本ルール:個人情報や機密情報は入力しない。それさえ守れば、「外部にデータを預ける」という意味では他のクラウドサービスと変わりません。セキュリティを理由に立ち止まるより、上手に使う方法を考えましょう。
支援の進め方:小さく始めて、日常に馴染ませる
AI活用で失敗しやすいのは、最初から「全部自動化しよう」「大きな課題を一気に解決しよう」と考えすぎるケースです。
- ステップ1: 身近な業務から始める — 会議の議事録、メールの文章、提案書のたたき台など、日常的に繰り返す作業から
- ステップ2: 使い慣れる — まず個人で試し、精度と使い勝手を実感する
- ステップ3: 組織に広げる — 成功体験を共有し、チーム全体に定着させる
「ツールを使いこなす」より「日常の中に馴染ませる」。あなたの会社でも、まずは一つの小さな業務から試してみてください。
中小企業診断士に相談する意味
中小企業診断士とは
中小企業診断士は、経営コンサルタントとして唯一の国家資格です。財務・会計、経営戦略、マーケティング、生産管理、ITシステム、労務・法務——企業経営を多面的に診断・支援できる専門家として、国が認定しています。
医師に例えるなら、特定の臓器だけを診る専門医ではなく、全身を診た上で必要な処置を考える総合診療医に近い立場です。
だから、AI活用支援で何が違うのか
「AIをどう使うか」だけを教えるトレーナーやエンジニアは増えています。中小企業診断士との違いは、AIを「経営の文脈」で考えられるかどうかです。
たとえば——
「営業データを分析したい」という相談があったとき、ツールの使い方を教えるだけでなく、「そのデータで何を意思決定したいのか」「分析結果を戦略にどう落とすか」まで一緒に考えます。
「業務を効率化したい」という場合も、どの業務から手をつけるべきか、人材配置や組織の動き方と合わせて整理します。
また、新規事業を立ち上げるための計画作りも、診断士との相性が高い領域です。アイデアの整理から市場調査、事業計画の策定まで、経営の全体像を見ながらAIを活用して進めることができます。
元プログラマーだから、技術的な話も一緒に考えられる
私はもともとプログラマーとして働いていた経歴があります。そのため、「このツールはどんな仕組みで動いているのか」「自社システムと連携できるのか」「APIはどう使うのか」といった技術的な議論にも具体的に入っていけるのが強みです。
経営の視点と技術の視点の両方を持ちながら支援できる——これが、私がAI活用支援において他のコンサルタントと一線を画せる部分だと考えています。
私の立ち位置:「AIの先生」でも「技術屋」でもなく、経営と技術の両方を見ながら、御社に合ったAI活用を一緒に考える専門家です。
よくある質問
Q. どんな業種・規模の会社が相談できますか?
製造業・食品・建築・研修・サービス業など幅広い業種での支援実績があります。従業員数は5名〜数十名程度の中小企業が中心です。「うちの業種は特殊だから」とお感じの方も、まずご相談ください。
Q. AIツールを何も使ったことがなくても大丈夫ですか?
はい、問題ありません。「ChatGPTを聞いたことはあるが使ったことはない」という方から支援を始めた事例も多くあります。ツールの使い方より、何を解決したいかを最初に整理することが大切で、そこから一緒に始めます。
Q. セキュリティが心配です。社内情報をAIに入れて大丈夫ですか?
個人情報・機密情報は入力しないことが基本ルールです。それを守った上であれば、Enterprise版のAIツールはメールやクラウドストレージと同様の安全性があります。セキュリティポリシーの整理も支援の一部として対応しています。
Q. 診断士への相談と、ITベンダーへの相談は何が違いますか?
ITベンダーは特定のツール・システムの導入を前提に提案します。診断士は特定のベンダーと利害関係がないため、御社の経営課題から出発して「本当に必要なものは何か」を中立的な立場で考えることができます。