「事業計画書って、どこに相談すればいいの?」

創業を決意したとき、多くの人が最初にぶつかる壁がこれです。商工会、よろず支援拠点、日本政策金融公庫……名前は聞いたことがあっても、それぞれ何が違うのか、どこに行けば何をしてもらえるのか、よくわからないまま時間だけが過ぎていく。

しかも最近は「生成AIで事業計画が作れる」という話も耳に入ってきて、何から手をつければいいのか余計に迷ってしまいます。

この記事では、中小企業診断士として創業支援に関わってきた経験をもとに、創業前の事業計画づくりで使える相談先・支援機関を全部まとめ、さらに生成AIをどう活用するかの基本的な考え方まで解説します。

そもそも事業計画書はなぜ必要なのか

事業計画書というと「融資を受けるために書くもの」と思われがちです。たしかに日本政策金融公庫などへの申請では必須書類になりますが、それだけが目的ではありません。

事業計画書を書く本当の意義は、「自分の事業のアイデアを整理して、現実的かどうかを自分でチェックする」ことにあります。

これらを文章と数字に落とし込む作業をすると、「考えていたつもりだったけど実はあいまいだった部分」が必ず見えてきます。その気づきが、事業を始める前に修正できる最大のチャンスです。

創業前に使える無料の相談先・支援機関一覧

1. 商工会議所・商工会

こんな人に向いている:地域密着で相談したい人、継続的に伴走してもらいたい人

商工会議所(主に都市部)と商工会(主に町村部)は、全国各地にある中小企業・小規模事業者のための経営支援機関です。創業前の相談はもちろん、創業後の経営相談も無料で受け付けています。

できること:

注意点:サービス内容は商工会議所・商工会によって異なります。担当者の知識・経験にも差があるため、まず電話で「創業相談はできますか?」と確認してから訪問するのがスムーズです。

商工会議所 全国検索

2. よろず支援拠点

こんな人に向いている:何でも気軽に相談したい人、まずどこに行けばいいかわからない人

中小企業庁が設置した、都道府県ごとにある「何でも相談窓口」です。コーディネーターと呼ばれる専門家が、経営全般にわたる幅広い相談に対応してくれます。

対応している相談テーマ:

おすすめポイント:相談は何度でも無料。「まず話を聞いてほしい」という段階でも大丈夫です。創業前の段階から気軽に飛び込んでOKです。

よろず支援拠点 全国一覧

3. 日本政策金融公庫(日本公庫)

こんな人に向いている:創業融資を検討している人

政府系の金融機関で、民間銀行では対応が難しい創業期の融資に積極的です。「新創業融資制度」は無担保・無保証人での借り入れが可能で、創業予定者の代表的な資金調達先です。

できること:

注意点:あくまで融資機関なので、「計画の中身をゼロから一緒に考える」というよりは「書いた計画を審査する」立場です。事業計画書はある程度できている状態で相談に行くのがベターです。

日本政策金融公庫 創業サポートデスク

4. 中小企業基盤整備機構(中小機構)/J-Net21

こんな人に向いている:自分でまず調べたい人、情報収集を効率よく進めたい人

国の中小企業支援機関で、オンラインポータル「J-Net21」では創業から経営まで幅広い情報を提供しています。補助金・助成金の検索機能も充実しています。

できること:

J-Net21 起業・創業サポート

5. 都道府県・市区町村の創業支援窓口

こんな人に向いている:地元の補助金・助成金を活用したい人、創業の具体的なステップを一貫してサポートしてほしい人

各自治体が独自の創業支援制度を持っています。補助金・低利融資・インキュベーション施設(格安で使えるオフィス)など、地域によってさまざまな支援が用意されています。

東京にお住まいの方:「TOKYO創業ステーション」が特に充実しています。起業に関心を持ち始めた段階から、具体的な事業計画を作っている段階まで、ステージに応じた幅広い支援を受けられます。

TOKYO創業ステーション

その他の地域の方:お住まいの市区町村の産業振興課・商工観光課に問い合わせるか、「(都道府県名)創業支援」で検索してみてください。

6. 税理士・中小企業診断士への個別相談

こんな人に向いている:専門家に個別に見てもらいたい人、特定の課題を深く相談したい人

公的機関の無料相談は「広く浅く」になりがちです。収支計画の精度を高めたい場合は税理士、事業戦略・ビジネスモデルを深く考えたい場合は中小企業診断士への相談が向いています。

初回相談を無料にしている専門家も多いので、まず話を聞いてみるところから始めるといいでしょう。

事業計画書の基本構成

どの相談先に行くにしても、「事業計画書に書くべき項目」を把握しておくと話がスムーズです。基本的な構成は以下のとおりです。

  1. 事業概要 — どんな事業をするのか、一言で説明できるか
  2. ターゲット顧客 — 誰のどんな課題を解決するのか
  3. 商品・サービスの内容 — 何を、いくらで提供するのか
  4. 競合・市場分析 — 似たようなサービスとの違いは何か
  5. 販売・集客方法 — どうやってお客さんを集めるのか
  6. 収支計画 — 売上・費用・利益の見通し(最低3年分)
  7. 資金計画 — いくら必要で、どう調達するか

「どれから書き始めればいいかわからない」という方が多いですが、順番にこだわらず、書けるところから書くのがコツです。書いているうちに「ここがわからない」「ここを調べなければ」という課題が見えてきます。

生成AIを使うと、ここが変わる

ここまで紹介した相談先や事業計画の構成は、以前から変わっていない「王道の方法」です。でも最近、生成AI(ChatGPTやClaudeなど)を使うことで、事業計画づくりのプロセスが大きく変わってきています。

①「壁打ち相手」として使える

「こんな事業を考えているんだけど、どう思う?」とAIに話しかけると、ターゲット顧客の課題を整理してくれたり、見落としているリスクを指摘してくれたりします。人に相談するには早い段階でも、AIなら何度でも気軽に試せます。

②アイデアを言語化する手助けをしてくれる

「頭の中にはあるけど、うまく言葉にできない」という悩みを持つ方は多いです。生成AIに自分の考えを話すように入力すると、それを整理・言語化した文章にしてくれます。

③情報収集・競合調査を効率化できる

市場規模の調べ方や競合他社の特徴など、リサーチにかかる時間を大幅に短縮できます。ただし、AIが出す情報はそのまま鵜呑みにせず、公的機関や信頼できるサイトで確認する習慣が大切です。

④収支計画の「たたき台」を作れる

「売上 ○○万円、原価率 ○○%」といった基本情報を入力すると、簡単な収支計画の骨格を作ってくれます。あとは実態に合わせて数字を修正するだけなので、ゼロから作るより格段に楽になります。

注意:AIだけでは乗り越えられない壁もある

生成AIは非常に便利なツールですが、万能ではありません。

「AIを使いこなしながら、専門家の知見も借りる」というハイブリッドな進め方が、今の時代のスタンダードになってきています。

まとめ:相談先×AI活用で、事業計画づくりを加速する

創業前の事業計画づくりには、使える相談先がたくさんあります。まず「よろず支援拠点」か「商工会議所」に足を運び、生成AIを「壁打ち相手」として使いながら計画を磨いていく、というのが一番おすすめの進め方です。

それぞれの相談先の強みを整理すると:

相談先無料継続支援AI活用融資相談
商工会議所・商工会
よろず支援拠点
日本政策金融公庫
中小企業診断士
生成AI