ひとりで起業アイデアを考えていると、気づかないうちに同じ視点を繰り返しています。AIを「鳥の目・虫の目・サカナの目」の壁打ち相手として使えば、行き詰まった発想を一気に広げることができます。

皆さんこんにちは!事業構想×生成AI活用アドバイザー(中小企業診断士)の津田です。

今回は、発想が行き詰まったときにAIを使って視点を切り替える方法をご紹介します。「鳥の目・虫の目・サカナの目」という3つの視点フレームワークとAIを組み合わせることで、退職後の起業準備でも一人で発想を広げていくことができます。

ひとりの発想が行き詰まる理由

退職後に起業を考えるとき、「何度考えても同じところに戻ってくる」という経験をする方は多くいます。これは能力の問題ではありません。人は自分のこれまでの経験や知識の枠の中で考えるため、ひとりで発想し続けるとどうしても視点が固定されてしまうのです。

かつては会社という組織の中でさまざまな立場の人と議論することで、自然と視点が広がっていました。退職後の起業準備では、その「壁打ち相手」がいなくなります。

AIはその壁打ち相手になれます。重要なのは「AIに答えを出してもらう」のではなく、「AIを使って自分が見ていない視点に気づく」という使い方です。

「3つの目」で視点を切り替える

ビジネスの世界でよく使われる視点の切り替えフレームワークに「3つの目」があります。それぞれの意味は次の通りです。

ポイント:どれか一つだけで考えると視野が偏ります。3つを切り替えながら考えることで、見えなかったビジネスの切り口が浮かび上がります。

以前はこの「視点の切り替え」を行うために、複数人で議論したりコンサルタントに相談したりする必要がありました。AIを使えば、ひとりでこの切り替えを手軽に試せます。

AIを壁打ち相手にして3つの目を使う

鳥の目(俯瞰):市場全体を把握する

まず市場全体を高い視点から見渡してみます。自分が考えているビジネス領域に、今どんな動きがあるのかをAIに整理してもらいます。

○○(例:60代向けの健康サービス)の市場を俯瞰して、現在起きているトレンドと主要なプレイヤーの特徴を教えてください。また、まだ十分に対応されていない顧客層や課題があれば指摘してください。

全体像を把握することで、「大きな流れの中で自分はどこに入れるか」が見えてきます。市場が大きすぎて入りにくい場所と、まだ手薄な場所の違いも分かります。

虫の目(細部):顧客のリアルな困りごとに近づく

次に顧客目線に切り替えます。鳥の目では見えなかった「日常の中の小さな不満」を掘り起こします。

○○(例:退職後に地域で活動したい60代の方)が、日常の中でこまっていること・面倒に感じていることを10個具体的に挙げてください。できるだけ細かい日常のシーンで教えてください。

「対象を具体的にする」ほど、リアルな困りごとが出てきます。「地域のサービスが少ない」という漠然とした課題ではなく、「予約の電話が繋がりにくい」「送迎の手配が面倒」といった具体的な場面が見えてきます。この細部こそが、ビジネスのヒントになります。

サカナの目(時流):5年後の流れを読む

最後に、時代の流れを読む視点を加えます。今は小さな動きでも、5年後に大きくなりそうなものを捉えます。

○○(例:地域の高齢者向けサービス)の分野で、今後5年間で大きくなりそうなニーズや社会変化を3つ教えてください。また、それに対してどんなビジネスが求められるようになるか、考えられる方向性も教えてください。

今すでに需要があるものに入るのか、これから伸びる波に乗るのか——自分がどちらを狙うかによって、事業の作り方も変わります。サカナの目は「タイミング」を考えるための視点です。

3つの目を組み合わせてアイデアを磨く

3つの視点でそれぞれ情報が集まったら、最後にAIに統合してもらいます。

以下の情報をもとに、私が起業できそうなビジネスアイデアを3つ提案してください。

【鳥の目で見えたこと】(市場全体の構造・手薄な領域)
【虫の目で見えたこと】(顧客の具体的な困りごと)
【サカナの目で見えたこと】(5年後に伸びそうな方向性)

3つの視点を掛け合わせることで、「今の市場に合っていて、顧客のリアルな課題を解決でき、将来性もある」アイデアの輪郭が見えてきます。

重要なのは、AIが出したアイデアをそのまま採用するのではなく、「こういう視点もあるのか」と気づきを得ながら、自分の経験と組み合わせることです。あなたが長年培ってきた経験と、この3つの視点が交わったところに、独自のビジネスが生まれます。

よくある質問

Q. 「コウモリの目」という視点も聞いたことがあります。使わないのですか?

コウモリの目は「逆さまから見る=常識を疑う」視点です。「鳥・虫・サカナの目」に慣れてきたら、次のステップとして試してみてください。「業界の常識を逆にしたらどうなるか?」とAIに問いかけると、面白いアイデアが出ることがあります。まずは今回の3つの目から始めることをおすすめします。

Q. どの視点から始めるのが効果的ですか?

「鳥の目→虫の目→サカナの目」の順がおすすめです。最初に全体を把握してから細部に入り、最後に時代の流れを確認する流れが、考えの整理につながります。ただし、行き詰まったときはどこからでも試してみてください。「虫の目」から始めて顧客の声を集めると、スムーズに動けることもあります。