給与で大手に勝てなくても、「ここで働く理由」を言葉にできれば採用競争力は作れます。条件の比較ではなく「マッチング」で選ばれるために、AIで自社の強みを言語化する方法を具体的に説明します。

皆さんこんにちは!AIコンサルタント(中小企業診断士)の津田です。

「給料で大手には勝てない。それは分かっている。でも、何で差別化すればいい?」——採用の場面でこういう悩みをよく聞きます。2025年の春闘では賃上げが進み、中小企業でも過去最高水準の引き上げが続いています。ただし大手との格差は依然として大きく、給与だけで採用競争をしても中小企業は不利な状況が続いています。でも、給与だけが採用の武器ではありません。

給与で戦わない採用の考え方

中小企業の採用で大手に勝てないのは、同じ土俵で戦っているからです。給与・知名度・福利厚生で正面から比べると、中小企業は不利になります。

大企業の新卒採用予定がある企業は72.5%であるのに対し、中小企業では30.8%にとどまっています(帝国データバンク「2026年度の雇用動向に関する企業の意識調査」)。採用市場での存在感の差は歴然です。

ただ、採用で起きるのは「比較」ではなく「マッチング」です。給与が高い会社より、「自分が成長できる」「裁量を持てる」「経営者と話せる」会社を選ぶ求職者は確実に存在します。その人たちに「ここで働く理由」が届いていないことが問題です。

採用ブランディングの目的は「条件に依存しない採用を実現すること」です。自社の理念・文化・働き方の特徴を言語化し、ターゲット人材に届けることで、給与以外の軸で選ばれるようになります。

中小企業だからこそ語れること

支援の現場でわかったことがあります。「うちの会社に特別な魅力なんてない」と言う経営者ほど、実は語れることを持っています。ただ、それが言語化されていないだけです。

中小企業の強みとして語れることは、例えばこういうものです。

これらは大手では実現しにくい特徴です。「言語化されていないだけ」の強みを、Claudeが掘り起こしてくれます。

私が支援する方では、製造業の2代目経営者が社員3名にインタビューし、Claudeに入力したところ「社長の口から出てこなかった言葉」が採用メッセージになったケースがあります。現場の社員が感じていることの方が、求職者に刺さることは多いのです。

「ここで働く理由」を言語化する3ステップ(図解)

「ここで働く理由」を言語化する3ステップ 給与以外の魅力を言語化して採用メッセージにする3つのステップを示す図 1 社員に聞く 「続けている理由」 「入社前後の違い」 2 Claudeで言語化 材料を入力して 3案以上生成する 3 求人票に反映 社員へ確認して 完成させる
材料を集め→言語化し→求人票に反映する。この流れをAIが加速する

手動パターン:Claudeで採用メッセージを作る

集めた材料をもとに、次のプロンプトをClaudeに試してみてください。

「私の会社は○○業、従業員○名、創業○年です。社員に聞いた『うちの会社の良いところ』がこれです:[箇条書きで入力]。採用したいのは○○のような人で、大企業ではなくうちを選んでほしい理由を伝えたいです。求人票の『会社の特徴』欄に使えるキャッチコピーを3案書いてください。」

3案出させることで、「どの表現が自社らしいか」を選べます。社員に見せてフィードバックをもらうと、さらに精度が上がります。「そうそう、それが言いたかった」が出てきたものを採用メッセージの軸にします。

自動化パターン:採用コンテンツを継続的に更新する

一度作った採用メッセージを「掲載したまま放置」にしない、というのが自動化の目的です。

Claude Coworkを使うと、定期的に社員インタビューの内容や現場での出来事を入力し、採用ページのコンテンツを継続的に更新する仕組みが作れます。「入社3ヶ月の社員が最初に驚いたこと」「今月の現場での出来事」など、リアルな情報を発信することで、求職者が「ここの職場は動いている」と感じられるページになります。

手動は今すぐ始められる点が強みで、自動化は継続性と鮮度が強みです。まず手動で採用メッセージの骨格を作り、効果が出てきたら仕組み化するのが現実的な流れです。

使える公的支援

キャリアアップ助成金(正社員化コース等)

非正規雇用者の正社員化など処遇改善に取り組んだ際に助成されます。給与改善と採用競争力の向上を同時に進める際に活用できます。公式:厚生労働省公式サイト(2026年6月時点・最新情報は公式サイトで要確認)

IT導入補助金

採用管理システムや社内業務のAI活用ツールの導入費用を補助します。採用活動のDX化にも活用できる可能性があります。公式:IT導入補助金公式サイト(2026年6月時点・最新情報は公式サイトで要確認)

制度は年度・要件が変わります。最新情報の確認はお気軽にご相談ください。

S-06シリーズ 全記事一覧

このシリーズでは、採用・定着・育成・属人化の各課題を1記事ずつ深掘りします。

経営課題×AIシリーズ(人材・組織編)
  1. [S-06-00] 全体地図——採用・定着・育成の3課題とAIで変えることの全体地図
  2. [S-06-01] 採用——求人を出しても誰も来ない。「選ばれる会社」に変わる方法
  3. [S-06-02] 採用——給与で大手に勝てない。「ここで働く理由」を言葉にする(この記事)
  4. [S-06-03] 定着——入社3ヶ月で辞める。「離職の本当の理由」をAIで早期に察知する(近日公開)
  5. [S-06-04] 定着——「職場の不満が言えない」をなくす。AIで心理的安全性をつくる(近日公開)
  6. [S-06-05] 育成——「先輩の背中を見て学べ」は限界。AIで育成を標準化する(近日公開)
  7. [S-06-06] 属人化——ベテランが休むと仕事が止まる。AIでノウハウを組織の資産に変える(近日公開)
  8. [S-06-07] 属人化——「あの人しか知らない」をなくす。暗黙知を引き出してマニュアル化する(近日公開)

「自社の場合はどこから?」は個別にご相談ください。

▶ 無料相談はこちら

よくある質問

Q. 給与を上げないと採用は無理ですか?

必ずしもそうではありません。給与水準の適正化は重要ですが、「どんな人と働くか」「どんなキャリアを積めるか」「経営者の考え方に共感できるか」という軸で会社を選ぶ求職者は一定数います。その人たちに「ここで働く理由」が届いていないことが問題です。まず言語化することから始めてください。

Q. 採用メッセージを作っても、どこに載せればいいですか?

ハローワーク・Indeed・業界特化型求人サイトの「職場の特徴・アピールポイント」欄に入れてください。採用ページがある場合は「社長メッセージ」や「社員の声」として掲載するのも効果的です。短い言葉であればLINE公式アカウントの紹介文や会社案内にも使えます。

Q. どんな社員に「続けている理由」を聞けばいいですか?

入社3年以上の中堅社員と、入社1年以内の新入社員の両方に聞くのがおすすめです。中堅社員は「長く続けてきた理由」、新入社員は「入ってみて気づいた意外な良さ」を語ってくれます。両方の視点を組み合わせると、求職者に刺さる採用メッセージになります。