AIは、文章作成・問い合わせ対応・調べ物といった「一人では手が回らない業務」を手伝ってくれる、もう一人の担当者のような存在です。中小企業のAI活用がまだ大企業と差がある今こそ、まず1つの文章の下書きをAIに頼んでみることから始めるのが、無理のない一歩です。手動で試す方法と、仕組みとして自動化する方法の違いも交えてお伝えする、やさしいDX入門連載の第4回、連載の山場です。

皆さんこんにちは!AIコンサルタント(中小企業診断士)の津田です。

「事務も営業も現場も全部自分」——一人社長や少人数の会社を経営していると、こう感じる場面は多いのではないでしょうか。新しく人を雇う余裕はないけれど、誰かに任せられる仕事は増えていく。この連載でこれまで扱ってきた集客経理のデジタル化に加えて、今回は「AI活用」という、もうひとつの入り口を取り上げます。

AIと聞くと難しそうに感じるかもしれません。ですが実際には、文章を書く・調べ物をする・問い合わせに答えるといった、日々の業務を手伝ってくれる「もう一人の担当者」を持つような感覚に近いものです。今回はこの連載の山場として、AIの具体的な使いどころを紹介します。

この回で分かること

中小企業のAI活用は、まだ差がついている段階

株式会社帝国データバンクが2026年3月に行った調査によると、生成AI(文章や画像などを作り出すAI)を「活用している」と回答した企業は、大企業で46.5%だったのに対し、中小企業では32.4%、小規模企業では28.0%にとどまりました(出典:株式会社帝国データバンク「生成AIに関する企業の動向調査(2026年3月)」)。企業規模が小さくなるほど活用が進んでいないという傾向が、はっきり数字に表れています。

一方で、独立行政法人中小企業基盤整備機構が2026年3月に行った調査では、AIを「全社的に導入している」「一部の業務で導入している」と回答した企業は合わせて20.4%、「導入を検討している」を加えると39.0%の企業が前向きな姿勢を示しています(出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査(2026年3月)」)。同調査では、AI導入の目的として「業務効率化・作業時間の短縮」が87.0%と圧倒的多数を占めており、多くの企業が「人を増やさずに仕事を回す」ためにAIを検討していることが分かります。

私が支援する方の話を聞いていると、「AIは大企業や専門部署がある会社が使うもの」というイメージを持たれていることがよくあります。ですが実際にAIが得意なのは、文章作成や情報整理といった、一人社長・少人数の会社でこそ手が回りにくい業務です。規模が小さいからこそ、AIの効果を実感しやすい面もあります。

AIを「もう一人の担当者」にする3つの使いどころ

専門的な使い方を覚える必要はありません。まずは次の3つから、自社に近いものを想像してみてください。

1. 文章作成 ── 見積書の説明文、お客様への案内メール、求人票の原稿など、「書くのに時間がかかる」文章の下書きを頼めます。ゼロから書くより、AIが出した下書きを直すほうが早く終わることが多いです。

2. 問い合わせ対応 ── よくある質問への回答文をあらかじめ用意しておいたり、メールの返信案を作らせたりできます。窓口が自分しかいない会社ほど、対応の負担が軽くなります。

3. 調べ物 ── 制度や競合の情報、専門用語の意味など、「調べるのに時間がかかる」ことを聞くと、要点をまとめて返してくれます。検索して複数のページを読む手間が減ります。

「まず自分で試す」と「仕組みとして任せる」

AIとの向き合い方には、大きく2つのパターンがあります。

AI活用の2パターン:手動(プロンプト)と自動化(Cowork/Code)の比較 左側は手動パターンで、チャット画面に自分で質問や依頼を入力して都度使う方法。右側は自動化パターンで、データ収集・分析・出力までを自動で実行する方法。左は今すぐ始めやすく、右は定期的な作業や大量処理に向いていることを示す。 手動(プロンプト) チャット画面に自分で 質問や依頼を入力 今日から誰でも始められる 単発の作業・入口に向く 使うたびに自分で 依頼を入力する手間がある 自動化(Cowork/Code) データ収集・分析・出力を 自動で実行 定期的な作業・大量処理に強い 対応漏れが起きにくい 仕組みの設計には 最初の伴走が有効
図:AI活用の2パターン。手動は今すぐ始められる入口、自動化は日々の作業を「仕組み」として任せる方法。どちらが優れているというより、目的に合わせて使い分けるもの。

手動パターンは、チャット画面にそのつど質問や依頼を打ち込む使い方です。特別な準備がいらず、今日から誰でも始められます。まずは「見積書の案内メールを書いて」のように、ひとつの作業を試してみるのに向いています。

自動化パターンは、決まった作業を毎回自分で入力しなくても、仕組みとして動くように設計する使い方です。定期的に発生する作業や、抜け漏れを防ぎたい作業に向いていますが、自社の業務に合わせた設計にはひと手間かかります。

どちらが優れているというものではなく、両方に一長一短があります。まずは手動で試して感覚をつかみ、「これは毎回自分でやるより、仕組みにしたほうが早い」と感じた作業から、自動化を検討するのが無理のない進め方です。

まず何から始めるか

今回は、次の1つだけをやってみてください。

普段よく書く文章(見積の案内メール、よくある質問への返信など)を1つ選んで、AIに下書きを頼んでみること

うまく使いこなす必要はありません。出てきた下書きを自分の言葉に直すだけでも、ゼロから書くよりかなり早く終わります。「思ったより簡単だった」という感覚を、まず1回持つことが次につながります。

でも、実際に手を動かすと迷うところも出てきます

「うちの業務のどこにAIを使えば効果が出るか」「毎回自分で入力するのではなく、仕組みとして任せたい」——ここまで来ると、自社に合わせた個別の設計が必要になります。特に自動化パターンは、業務知識とAIの両方が分かっていないと、うまく設計できません。

事業構想を自分の言葉で整理しながらAI活用の方向性を考えたい方には、MiraizConceptを7日間無料でお試しいただけます。「何から自動化すればいいか」を一緒に整理したい方は、無料相談もご活用ください。一人で抱え込まず、AIという「もう一人の担当者」をどう迎え入れるか、一緒に考えるところから始めましょう。

まとめ

次回は「データ活用とマーケティング分析 ─ 『勘と経験』に数字の裏付けを足す」を取り上げます。すでに自社にあるデータから始める分析の第一歩を紹介します。

※本記事はAIを活用して作成しています(公開されている調査データおよび実務知見をもとに執筆)。