経理・バックオフィスのデジタル化は、見積・請求・入金管理といった「紙とExcelの往復」を減らし、残業や属人化の解消に直結する効果の大きい領域です。まずは自分の経理業務にかかっている時間を数字にすることから始めるのが着実です。クラウド会計の利用状況や、電子帳簿保存法・インボイス制度の実態も交えながらお伝えする、やさしいDX入門連載の第3回です。

皆さんこんにちは!AIコンサルタント(中小企業診断士)の津田です。

「月末になると、請求書の束と通帳を並べて、入金を1件ずつ照らし合わせる」——そんな時間、心当たりはないでしょうか。見積書はExcel、請求書は手書きか自作フォーマット、入金確認は通帳とにらめっこ。ひとつひとつは小さな作業でも、積み重なると月に何時間もかかっている経理業務は少なくありません。

前回は「集客のデジタル化」を取り上げました。今回は視点を社内に移し、見積・受発注・契約・請求・入金管理といった「経理とバックオフィス」のデジタル化を扱います。地味に見えるテーマですが、残業や属人化の解消に直結する、実は効果の大きい領域です。

この回で分かること

なぜ経理・バックオフィスから見直す価値があるのか

経理業務は、売上には直結しないため後回しにされがちです。ですが、見積作成・請求書発行・入金確認・記帳という一連の流れを手作業でつないでいると、同じ情報を何度も転記することになり、ミスも時間も増えていきます。

株式会社MM総研が2026年3月末時点で行った調査によると、個人事業主のクラウド会計ソフト(インターネット上で使う会計ソフト)利用率は38.4%にとどまり、前年からの伸びは0.1ポイントとほぼ横ばいでした(出典:株式会社MM総研「個人事業主のクラウド会計利用率は38.4%、近く40%へ」2026年4月21日発表)。会計ソフト全体で見ても、いまだにパソコンにインストールして使う従来型が過半数を占めています。つまり、経理のデジタル化は「まだ伸びしろがある」領域だといえます。

一方で、制度対応の負担は増しています。日本商工会議所が2024年9月に発表した調査では、電子帳簿保存法(メールやWebでやり取りした請求書・領収書などを、決められたルールに沿ってデータのまま保存することを義務づける法律)について、売上高1千万円以下の事業者の59.4%が「制度をよく理解できず未対応」と回答しました(出典:日本商工会議所「中小企業におけるインボイス制度、電子帳簿保存法、バックオフィス業務の実態調査」2024年9月発表)。同調査では、インボイス制度(取引先に正確な消費税額を伝えるための請求書のルール)への対応後、事業者の82.2%が事務負担の増加を、48.8%がコスト増を感じているという結果も出ています。

私が支援する方の話を聞いていると、「制度対応のために紙の請求書を頑張って整理している」というケースをよく見かけます。ですが実は、紙のまま制度に対応しようとするほうが手間がかかり、クラウド請求書やクラウド会計に切り替えたほうが結果的に負担が軽くなることが多いのです。制度対応は「面倒が増えるきっかけ」ではなく、「デジタル化に踏み出すきっかけ」に変えられます。

請求・入金管理の「紙とExcel」と「クラウド化後」の比較フロー 上段は見積作成・FAX送付・入金待ち・通帳での消込・月末の転記という5ステップの手作業フロー。下段はクラウド請求書発行・自動送付・入金消込の自動化・会計ソフトへの自動反映という3ステップのフローで、手作業が大きく減ることを示す。 今まで(紙とExcelの往復) 見積を手作業で作成 請求書を FAX・郵送 入金を 通帳で待つ 1件ずつ 手作業で消込 月末に まとめて転記 クラウド化後 クラウド請求書で 発行・自動送付 入金確認・消込を 自動化 会計ソフトへ 自動で仕訳反映 5ステップの手作業が、3ステップに整理され、そのうち2つは自動で進む状態になる
図:請求・入金管理を紙とExcelで行う場合とクラウド化した場合の作業フローの比較。転記や消込の手作業が減り、経理の手が空く時間が生まれる。

まず何から始めるか

今回は、次の1つだけをやってみてください。

直近3ヶ月分の請求書発行にかかった時間を、ざっくりでいいので書き出してみること

いきなり会計ソフトを乗り換える必要はありません。まずは「見積作成に何分」「請求書発行に何分」「入金確認に何分」と、自分の経理業務にかかっている時間を数字にしてみてください。数字にすると、「思ったより時間を取られている作業」が見えてきます。そこが、クラウド請求書やクラウド会計を検討する最初の判断材料になります。

制度対応(電子帳簿保存法・インボイス制度)については、すでに一定の準備が済んでいる場合も多いはずです。焦って全部を作り直す必要はなく、次に請求書フォーマットや保存方法を見直すタイミングで、クラウド化も一緒に検討するくらいで十分です。

でも、実際に手を動かすと迷うところも出てきます

「自社の業務にどのクラウド請求書・会計ソフトが合うか」「今の紙の帳票をどう電子データに移行するか」は、業種や取引先の商習慣によって最適解が変わります。ここは経験がないと判断に時間がかかるところです。制度対応にあわせて使える「デジタル化・AI導入補助金」(旧IT導入補助金)には、インボイス対応やクラウド利用料を対象にした枠もあります(出典:freee株式会社「デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)は2026年も実施!」)。制度・補助金の内容は年度によって変わるため、詳細は最新の公募要領でご確認いただくか、無料相談でも整理できます。

まとめ

次回は「AI活用 ─ 一人社長でも『もう一人の担当者』を持てる時代」を取り上げます。この連載の山場となる、AIの具体的な使いどころを紹介します。

「うちの場合、どのクラウドサービスから手をつければいいか分からない」という方は、無料相談でも承っています。この連載を自社に置き換えて考えるための壁打ち相手として、お気軽にご活用ください。

※本記事はAIを活用して作成しています(公開されている調査データおよび実務知見をもとに執筆)。