日々の業務は回っている。売上もなんとか維持できている。それなのに、「このままでいいのか」「次に何をすべきか」というモヤモヤだけが、頭の片隅から離れない——そんな感覚はありませんか。
皆さんこんにちは!AIコンサルタント(中小企業診断士)の津田です。
今回は「「社長が一番忙しくて、一番孤独」。経営者の4つの課題とAIで取り戻す「経営者の時間」」で触れた4つの課題のうち、「構想」の課題を掘り下げます。
支援の現場でわかったことですが、この「次の一手が見えない」感覚は、経営が傾いているサインではなく、むしろ日々の業務に真剣に向き合っている経営者ほど抱えやすい感覚です。緊急ではないから後回しにされ、でも重要だから気になり続ける。この記事では、そのモヤモヤをAIで構想として整理する方法をお伝えします。
「構想を描けていない」中小企業の実態
中小企業庁の2020年版小規模企業白書によると、経営計画又は事業計画を策定している小規模事業者の割合は5割を下回ります。一方、中規模企業(従業員21人以上)では約7割が策定しています。策定していない理由としては、企業規模を問わず「策定する必要性を感じていないから」と「策定する人員やノウハウがないから」がそれぞれ3割を超えています(中小企業庁「2020年版小規模企業白書」第3部第2章第1節)。
同じ白書では、自社の経営計画等の内容について「十分」または「おおむね十分」と自己評価している事業者ほど、直近5年間の売上高・経常利益が「増加」したと回答する割合が高いことも示されています。構想や計画を言葉にできているかどうかは、単なる書類の有無ではなく、実際の業績にもつながっている可能性がある——これが実態です。
また、2026年3月に中小企業基盤整備機構が実施した調査では、AI導入企業のうち「経営・企画部門」(経営の意思決定に関する業務分野)でのAI活用が58.5%にのぼる一方、社内では「成功事例や活用事例などの情報」の不足を感じている企業が83.3%にのぼります(中小企業基盤整備機構「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査」2026年3月)。構想整理へのAI活用に関心はあっても、「何から手をつければいいか分からない」という状態にある経営者が多いことがうかがえます。
なぜ構想は後回しにされるのか
構想を練る時間は、緊急の対応ではありません。見積もり対応や現場のトラブルの方が、常に優先順位が高くなります。加えて、「頭の中にあるものを、どう言葉にすればいいか分からない」という入口の壁もあります。フレームワークを調べても、自社に当てはめる段階でつまずいてしまう。結果として、構想は「いつか考えること」として先送りされ続けます。
AIで構想を整理する2つの使い方
使い方①:モヤモヤをそのまま書き出す
「今の事業について、なんとなく気になっていること」を整理せずにAIへ書き出します。「この商品だけに頼っていて大丈夫か」「今のお客様以外にも売れるのではないか」など、断片的な思いつきで構いません。
使い方②:「なぜ」を繰り返し問い返してもらう
書き出した内容に対して、「なぜそう思うのか、もっと詳しく聞いてほしい」とAIに問い返してもらいます。一往復で終わらせず、思いつきが言葉になるまで対話を重ねることで、モヤモヤの正体が輪郭を持ち始めます。
使える公的支援策
商工会議所・商工会では、経営計画の策定支援を無料または低コストで受けられます。ローカルベンチマークという「経営の見える化」ツールを使った現状分析を組み合わせている窓口も多く、AIで整理した構想の"検証の場"として活用できます。
※窓口の利用方法・支援内容は商工会議所・商工会によって異なります。最新情報は各窓口の公式サイトでご確認いただくか、当方までご相談ください(2026年7月時点の情報です)。
それでも一人での構想整理には限界がある理由
AIは、問いを返し、言葉にする手伝いはできます。しかし「その構想が、自社の経営資源やこれまでの経緯に照らして現実的か」までは判断できません。もっともらしい構想がまとまったように見えても、実行段階で「うちの会社には合わなかった」となることもあります。
ここは、診断士のような第三者が、AIで整理した構想を実行可能な計画として検証することで、精度が上がる領域です。
構想は、一晩で完成するものではありません。ですが、頭の中にあるモヤモヤを1つ、今日言葉にしてみることはできます。
「AIで構想は整理できたが、計画として形にできるか不安」という方は、無料相談でお話ししましょう。構想の言語化から計画書づくりまで一緒に進めたい方には、私が開発した「MiraizConcept」もご用意しています(miraiz.biz、14日間無料トライアルあり)。
【+α:手動で試す/自動化して仕組み化する】
手動(プロンプト):Claudeに「私の事業について、なんとなく気になっていることを話す。あなたは経営の壁打ち相手として、なぜそう思うのか、繰り返し問い返してほしい」と伝える方法。今日から無料で始められます。
自動化(Cowork/Code):自社の売上・顧客データを事前に整理・要約しておき、構想を練るたびにゼロから状況説明をしなくて済む仕組み。定期的に構想を見直したい社長ほど効果が大きくなります。
まずは手動で1回、頭の中のモヤモヤを書き出してみて、続けられそうなら自社データを事前に整理しておく仕組み化を検討する、という順番がおすすめです。
よくある質問
Q. 経営計画を策定していない中小企業はどれくらいありますか?
中小企業庁の2020年版小規模企業白書によると、経営計画や事業計画を策定している小規模事業者の割合は5割を下回ります。一方、自社の計画内容を「十分」または「おおむね十分」と自己評価している事業者ほど、直近5年間の売上高・経常利益が「増加」したと回答する割合が高いことも示されています。
Q. AIで構想を整理するにはどう使えばいいですか?
頭の中のモヤモヤを整理せずそのままAIに書き出し、「なぜそう思うのか」を繰り返し問い返してもらう、という2つの使い方で、断片的な思いつきを言葉にしていきます。一往復で終わらせず対話を重ねることがポイントです。
Q. AIで整理した構想だけで実行して大丈夫ですか?
AIは問いを返し言葉にする手伝いはできますが、自社の経営資源やこれまでの経緯に照らして現実的かどうかまでは判断できません。診断士のような第三者が、構想を実行可能な計画として検証することをおすすめします。