新商品のアイデアは、社内会議だけでひねり出す必要はありません。アイデアの「量」はAIに任せ、人間は「絞り込みと判断」に集中する——この役割分担が現実的な進め方です。新商品・新サービスのアイデアを枯渇させないために、AIをどう「アイデア出しの相棒」として使えるかをお伝えします。

皆さんこんにちは!AIコンサルタント(中小企業診断士)の津田です。

今回は「「会社をどうするか、分からない」。経営戦略3課題とAIで自分の答えを見つける全体地図」で触れた3つの課題のうち、「「なんとなく成長したい」から「具体的な成長戦略」へ。AIで設計する」で戦略の骨格を描いた先にある「新規事業」の入り口、新商品・新サービスの発想を掘り下げます。

「今の主力商品・サービスだけでこの先も大丈夫か」「次に何を売ればいいのか、正直アイデアが枯渇している」——営業や調達の現場対応に追われるうちに、新商品・新サービスの検討は後回しになりがちです。かといって、外部のブレスト会議やコンサルに依頼するほどの予算も時間もない。

アイデアが出ない会社が多い、これだけの理由

独立行政法人中小企業基盤整備機構が2026年3月に公表した調査によれば、中小企業のAI導入率は20.4%、導入を検討中の企業を含めても39.0%にとどまります。導入済み企業のうち生成AIを利用している割合は82.6%と圧倒的多数ですが、その主な用途は「業務効率化・作業時間の短縮」(87.0%)であり、新商品・新サービスの企画やアイデア発想への活用はまだ一般的とは言えません。

つまり、多くの会社が生成AIを「作業を早くする道具」としては使い始めていても、「新しい商品・事業を考える道具」としては使いこなせていないのが実情です。ここに、他社と差がつく余地があります。

なぜ社内のブレストだけでは行き詰まるのか

新商品アイデアが社内のブレストだけで行き詰まる理由は、たいてい次のどちらかです。

外部のアイデアソンやコンサルティングに依頼する方法もありますが、費用も時間もかかります。この「本格的な外部依頼」と「時間切れで先送り」の間を埋める手段として、AIが現実的な選択肢になってきています。

AIで新商品アイデアを発想する3ステップ

アイデアの評価マトリクス:実現しやすさ×効果の大きさ 横軸を実現しやすさ、縦軸を効果の大きさとした2×2マトリクスで、AIが出した新商品アイデアをどの象限から着手すべきか整理する図 アイデアの評価マトリクス 実現しやすさ → 効果の大きさ → ①最初に着手 効果大・実現しやすい =小さく試す価値あり ②中期で検討 効果大・実現に時間 =準備してから着手 ③手が空いたら 効果小・実現しやすい ④保留 効果小・実現も困難
AIに数百案出させたあと、実現しやすさと効果の大きさで4象限に振り分け、①から着手する。

① アイデアの数出し:「既存客の困りごと」「業界の変化」「自社の強みが応用できそうな分野」など、切り口をいくつか決めてAIに投げ、案を大量に出させます。人間が1日に考えられる案には限りがありますが、AIなら数十〜数百の切り口を短時間で出せます。

② 評価軸で絞り込み:出てきた案を「実現しやすさ」「効果の大きさ」の2軸でAIに整理させ、上図のようなマトリクスに振り分けます。人が全部を精査する前に、AIに一次仕分けをさせることで検討の負担を減らせます。

③ 有望案の深掘り:絞り込んだ数案について、必要な体制・想定コスト・想定される顧客層をAIに壁打ちしながら具体化していきます。ここで初めて、社内で本格的に検討するテーブルに乗せられる形になります。

使える公的支援策

※制度の詳細・要件・公募時期は年度により変わります。最新情報は中小企業庁・ものづくり補助金公式サイトでご確認いただくか、当方までご相談ください(2026年7月時点の情報です)。

それでも一人(一社)では詰めきれない部分

AIは、アイデアの「量」を出す作業と一次仕分けをとても軽くしてくれます。ただし、支援の現場でわかったことですが、AIが出す案は一般論としては筋が良くても、「自社の生産体制で本当に作れるか」「既存の取引先との関係にどう影響するか」といった、自社固有の制約までは踏まえきれません。

第三者が自社の実情と照らし合わせて「これは実現可能」「これは今のうちには難しい」と一緒に検証することで、初めて実行に移せる新商品案になります。

新商品開発会議を今日中に立ち上げる必要はありません。まずはAIに、「既存のお客様が困っていそうなこと」を1テーマだけ投げて、案を数十個出させてみてください。それが、「次に何を売ればいいか分からない」から抜け出す最初の一歩です。

有望な案が見え、事業として本格的に構想を練りたくなったときは、事業構想を整理するために私が開発した「MiraizConcept」というツールもあります。フレームワークに沿ってAIと対話しながら、一人でも構想を形にできるサービスです(miraiz.biz、14日間無料トライアルあり)。

有望な案が見えたら、次は新市場の検討や事業計画への落とし込みへ。社内だけで抱え込まず、無料相談で一度お話ししましょう。

【+α:手動で試す/自動化して仕組み化する】

手動(プロンプト):Claudeに「当社は〇〇業。既存のお客様が困っていそうなことを軸に、新商品・新サービスのアイデアを30個出してほしい」と伝え、対話しながら絞り込んでいく方法。今日からPCでも始められます。

自動化(Cowork/Code):業界ニュースや競合の動き、既存顧客からの問い合わせ内容を定期的に読み込ませ、新商品のヒントとなるキーワードを月次でレポートさせる仕組み。担当者が毎回ゼロから情報収集する手間を減らせます。

まずは手動で試し、自分に合うと感じたら自動化を検討する、という順番がおすすめです。

よくある質問

Q. 新商品のアイデア出しにAIを使うメリットは何ですか?

人間が1日に考えられる案には限りがありますが、AIなら数十〜数百の切り口を短時間で出せます。アイデアの「量」はAIに任せ、人間は「絞り込みと判断」に集中するという役割分担ができるため、社内ブレストの「同じ発想の枠から出られない」「時間が確保できない」という行き詰まりを解消できます。

Q. AIが出した新商品アイデアはそのまま使えますか?

そのままでは使えません。AIが出す案は一般論としては筋が良くても、「自社の生産体制で本当に作れるか」「既存の取引先との関係にどう影響するか」といった自社固有の制約までは踏まえきれません。実現しやすさ×効果の大きさの2軸で仕分けたうえで、第三者と一緒に自社の実情と照らし合わせて検証することが必要です。

Q. 新商品開発に使える補助金はありますか?

新商品・新サービスの試作開発を支援するものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(ものづくり補助金)や、新たな取り組みを計画としてまとめて承認を受ける経営革新計画があります。ものづくり補助金の直近の第23次公募は2026年5月8日締切で終了しており、次回公募の時期は公式サイトでの確認が必要です(2026年7月時点)。