収益の「第二の柱」は、いきなり新規事業を立ち上げて作る必要はありません。まずは自社の強み・技術・設備を棚卸しし、それが活かせそうな別の収益源をAIに一緒に洗い出してもらう——この小さな一歩から始められます。「第二の柱」をAIと一緒に構想する方法をお伝えします。
皆さんこんにちは!AIコンサルタント(中小企業診断士)の津田です。
今回は「「会社をどうするか、分からない」。経営戦略3課題とAIで自分の答えを見つける全体地図」で触れた3つの課題の最後、「事業ポートフォリオ」を掘り下げます。「10年後の会社像が描けない社長へ。AIで事業の方向性を言語化する」で将来像を言葉にし、「今の客以外に売る。AIで「次の市場」を特定する」で新しい市場を探した先にある、主力依存からの脱却がテーマです。
「今の主力事業のおかげで会社は続いてきた。でも、この先ずっとこの一本だけで大丈夫だろうか」——原材料費の高騰、取引先の方針転換、一社依存の受注構造。一本足打法のリスクは頭では分かっていても、日々の仕事に追われて「第二の柱」を考える時間まで持てない社長は少なくありません。
「一本足打法」に気づいていても動けない理由
2026年版中小企業白書(中小企業庁、2026年4月公表)は、経営環境が転換期にある中で「現状維持は最大のリスク」であり、短期の損益だけでなく長期的な視点で事業構造を見直す「戦略」を持った経営への転換が必要だと指摘しています。多くの経営者が「今のままではいけない」と感じながらも、日々の受注対応に追われて具体的な一歩を踏み出せていないのが実情です。
一方、独立行政法人中小企業基盤整備機構が2026年3月に公表した調査によれば、中小企業の生成AI導入率は20.4%にとどまり、導入企業の主な用途も「業務効率化・作業時間の短縮」(87.0%)が中心で、新規事業の構想やポートフォリオの見直しへの活用はまだ一般的ではありません。つまり、「第二の柱」を考える道具としてAIを使いこなせている会社はまだ少なく、ここに他社と差がつく余地があります。
なぜ第二の柱は後回しになりがちなのか
第二の柱の検討が後回しになる理由は、たいてい次のどちらかです。
- 主力事業の対応で手一杯だから——日々の受注・現場対応に追われ、「今すぐ困っていないこと」は後回しになります
- 何から手をつければいいか分からないから——新規事業というと大きな投資をイメージしがちで、「うちにできる規模の話」に落とし込めていません
外部コンサルタントに新規事業の立案を依頼する方法もありますが、費用がかかるうえ、自社の技術や設備を深く理解してもらうまでに時間がかかります。この「本格的な依頼」と「頭では分かっているが動けない」の間を埋める手段として、AIが現実的な選択肢になってきています。
AIで第二の柱を構想する3ステップ
① 強み・設備の棚卸し:「うちの技術で得意なこと」「他社にはない設備」「長年培ってきたノウハウ」を、AIに雑談形式で話しながら整理してもらいます。専門的な経営フレームワークを知らなくても構いません。
② 応用先の洗い出し:棚卸しした強みをもとに、「同じ技術・設備が活かせそうな別の業界」「今の取引先以外に売れそうな用途」をAIに複数案出させます。人間が思いつく範囲は限られますが、AIなら幅広い業界の切り口から案を出せます。
③ 小さく試す:出てきた案の中から、「一番小さなコストで試せるもの」を選び、AIと一緒に検証方法を具体化します。大きな設備投資をする前に、小ロットで作ってみる、既存の取引先の一部に打診してみるなど、リスクを抑えた進め方を考えます。
使える公的支援策
- 中小企業新事業進出補助金:事業再構築補助金の後継として位置づけられる制度で、新分野への進出や設備投資に伴う費用を支援します。2026年度の公募回数・時期は変更される可能性があるため要確認です
- 経営革新計画(承認制度):第二の柱となる新事業を計画としてまとめ、都道府県知事等の承認を受けることで、融資の優遇措置が受けられます。AIで整理した構想を、この計画の形に清書していくと実行力が増します
※制度の詳細・要件・公募時期は年度により変わります。最新情報は中小企業庁公式サイトでご確認いただくか、当方までご相談ください(2026年7月時点の情報です)。
それでも一人では詰めきれない部分
AIは、強みの整理と応用先の数出しをとても軽くしてくれます。ただし、支援の現場でわかったことですが、経営者が一人でAIと出した第二の柱の案は「面白そうだから」で選ばれやすく、「今の主力事業とのバランス」「限られた人員でどちらも回せるか」という現実的な検証が甘くなりがちです。
第三者が「その事業、今の体制で本当に両立できますか」「主力が落ち込んだときの支えになる規模ですか」と問い直すことで、初めて絵に描いた餅ではない、実行できる第二の柱の構想になります。
新規事業を今日中に立ち上げる必要はありません。まずはAIに、「うちの会社が他社より得意なこと、長年培ってきた技術を整理してほしい」と話しかけてみてください。それが、「一本足打法」から抜け出す最初の一歩です。
強みと応用先の仮説が見え、事業として本格的に構想を練りたくなったときは、事業構想を整理するために私が開発した「MiraizConcept」というツールもあります。フレームワークに沿ってAIと対話しながら、一人でも構想を形にできるサービスです(miraiz.biz、14日間無料トライアルあり)。
第二の柱の仮説ができたら、次はどの市場で試すかの検討へ。一人で抱え込まず、無料相談で一度お話ししましょう。
【+α:手動で試す/自動化して仕組み化する】
手動(プロンプト):Claudeに「当社は〇〇業。得意な技術・設備は〇〇。この強みが活かせそうな、今と違う業界や用途を挙げてほしい」と伝え、対話しながら案を広げていく方法。今日からスマホでも始められます。
自動化(Cowork/Code):業界ニュースや取引先の動向、自社の受注データを定期的に読み込ませ、主力事業以外で使えそうな技術トレンドを月次でレポートさせる仕組み。情報収集を毎回一から行う手間を減らせます。
まずは手動で試し、自分に合うと感じたら自動化を検討する、という順番がおすすめです。
よくある質問
Q. 収益の第二の柱づくりは何から始めればいいですか?
まずは「自社の強み・設備の棚卸し」から始めてください。「うちの技術で得意なこと」「他社にはない設備」「長年培ってきたノウハウ」を、AIに雑談形式で話しながら整理してもらいます。専門的な経営フレームワークを知らなくても構いません。そこから同じ強みが活かせる別の収益源をAIと一緒に洗い出していきます。
Q. 大きな投資をせずに新しい事業を試すことはできますか?
できます。出てきた案の中から「一番小さなコストで試せるもの」を選び、大きな設備投資をする前に、小ロットで作ってみる、既存の取引先の一部に打診してみるなど、リスクを抑えた検証から始める進め方が現実的です。検証方法の具体化もAIと一緒に設計できます。
Q. 第二の柱づくりに使える公的支援はありますか?
事業再構築補助金の後継として位置づけられる中小企業新事業進出補助金が、新分野への進出や設備投資に伴う費用を支援します。また、新事業を計画としてまとめて都道府県知事等の承認を受ける経営革新計画では、融資の優遇措置が受けられます。制度の詳細・公募時期は年度により変わるため、最新情報の確認が必要です(2026年7月時点)。