中小企業のデータ活用は「ツールは入れたが、データを分析して使うところまでは届いていない」段階が多数派です。分析といっても難しい計算ではなく、まずは売上データを商品ごとに並べて比べてみることが、勘と経験に数字の裏付けを足す第一歩になります。2026年版中小企業白書のデータも交えてお伝えする、やさしいDX入門連載の第5回です。

皆さんこんにちは!AIコンサルタント(中小企業診断士)の津田です。

「あの商品は売れている気がする」「常連さんはだいたいこの時期に来る」——長年商売をやっていると、こうした感覚は自然と身についてきます。実際、その勘はかなりの精度で当たっているものです。ですが、その勘を誰かに引き継ぐとき、あるいは新しい判断をするとき、「なぜそう思うのか」を数字で説明できずに困った経験はないでしょうか。

この連載ではこれまで、集客経理AI活用と3つのデジタル化の入り口を見てきました。今回は4つ目、「データ活用とマーケティング分析」を取り上げます。難しく聞こえるテーマですが、ゴールは高度な分析ツールを使いこなすことではなく、「勘と経験」に数字の裏付けを1つ足すことです。

この回で分かること

中小企業のデータ活用は「ツール導入」止まりが多数派

中小企業庁が2026年4月に公表した2026年版中小企業白書によると、中小企業・小規模事業者のデジタル化の取組段階は4つに整理されています。「紙・口頭中心」の段階1が15.4%、「デジタルツールへの移行中」の段階2が57.3%、「業務効率化・データ分析」まで進んだ段階3が24.5%、「ビジネスモデル変革」まで到達した段階4はわずか2.8%でした(出典:中小企業庁「2026年版 中小企業白書・小規模企業白書の概要」2026年4月24日発表)。

この数字が示しているのは、7割を超える企業が「ツールは入れたが、データを分析して使うところまでは届いていない」状態にあるということです。会計ソフトやPOSレジを導入しても、そこに溜まったデータをただ記録として眠らせている会社は、決して少なくありません。

もう1つ、興味深いデータがあります。独立行政法人中小企業基盤整備機構が2025年12月に行った調査では、AI活用が進まない理由として「活用する業務がイメージできていない」が63.4%で最も多く挙げられました(出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構「中小企業のDX推進に関する調査(2025年)」令和8年2月発表)。データ分析についても、同じことが言えます。多くの経営者は「データを使えばいいのは分かるが、何をどう見ればいいのか分からない」という壁でつまずいているのです。

私が支援する方の話を聞いていると、「うちにはデータなんて大したものはない」とおっしゃる方によく出会います。ですが、実際に確認してみると、売上明細・顧客リスト・在庫台帳など、分析の材料になるデータはすでに社内に存在していることがほとんどです。足りないのは新しいデータではなく、「今あるデータを並べて比べてみる」という一歩なのです。

中小企業のデジタル化の取組段階(4段階)の分布 段階1「紙・口頭中心」が15.4%、段階2「デジタルツールへの移行中」が57.3%、段階3「業務効率化・データ分析」が24.5%、段階4「ビジネスモデル変革」が2.8%。ツール導入までは進んでいるが、データ分析以降に進んでいる企業はまだ少数派であることを示す横棒グラフ。 段階1:紙・口頭中心 15.4% 段階2:デジタルツールへの移行中 57.3% 段階3:業務効率化・データ分析 24.5% 段階4:ビジネスモデル変革 2.8% ツール導入(段階2)までは7割が到達済み。データ分析(段階3以降)に進んでいるのは3割弱にとどまる
図:中小企業のデジタル化の取組段階の分布(中小企業庁「2026年版中小企業白書・小規模企業白書の概要」より作成)。段階3・4に進めば、それだけで多くの企業に一歩差をつけられる。

「分析」と聞いて身構えなくていい理由

「データ分析」と聞くと、専門的な統計知識やシステムが必要だと感じるかもしれません。ですが、この連載でいう分析は、もっと手前の段階を指しています。

分析の第一歩は、難しい計算ではなく「並べて比べる」ことです。たとえば、月ごとの売上を並べれば繁忙期と閑散期が見えます。商品別に売上を並べれば、思っていたより売れている・売れていない商品が見えます。顧客ごとに購入頻度を並べれば、実は長年支えてくれている常連客が見えてきます。これらはすべて、Excelやクラウド会計ソフトに入っているデータを並べ替えるだけで分かることです。

AIの活用も、この「並べて比べる」作業を後押ししてくれます。売上データをAIに読み込ませて「今月と先月で、商品別の売上はどう変わりましたか」と聞けば、自分で1件ずつ電卓を叩かなくても、傾向を要約して答えてくれます。前回取り上げたAI活用の延長線上に、データ分析の入り口があると考えると、ぐっと身近に感じられるはずです。

まず何から始めるか

今回は、次の1つだけをやってみてください。

直近3ヶ月分の売上データを、商品(またはサービス)ごとに並べ替えて眺めてみること

会計ソフトやレジのデータをそのままExcelに書き出し、商品名で並べ替えるだけで構いません。「思っていたより売れている」「実は最近落ちてきている」——数字にしてはじめて気づくことが、必ず1つは見つかります。この「あ、そうだったのか」という発見が、勘と経験に数字の裏付けを足す最初の一歩です。

でも、実際に手を動かすと迷うところも出てきます

「どの数字を継続的に見ればいいか」「複数のデータ(売上・顧客・在庫)をどう組み合わせて自社の課題を見つけるか」は、業種や商売の形によって最適な切り口が変わります。一度並べ替えて終わりではなく、月次で定点観測する仕組みにできるかどうかが、次の分かれ目になります。

自社の状況に合わせて「何のデータを、どう見ていくか」を一緒に整理したい方は、無料相談でも承っています。データそのものより、「どの数字が自社の意思決定に効くか」を見極めるところに、外部の目が役立つことが多いです。

まとめ

次回はこの連載の最終回、「DXで得られる5つのメリットと、はじめの一歩 ─ 補助金の活用も視野に」です。ここまでの4回を振り返りながら、自社の「まず1つ」を決めるところまで一緒に整理します。

※本記事はAIを活用して作成しています(公開されている調査データおよび実務知見をもとに執筆)。