Claudeに「作る役」と「採点する役」を分けて任せ、基準を満たすまで自動で往復させれば、「もっと良くして」の繰り返しから抜け出せます。Anthropic公式ブログ「Building Effective AI Agents」が示す「評価者・最適化ループ」を、実際の業務場面で解説していきます。

皆さんこんにちは!AIコンサルタント(中小企業診断士)の津田です。

今回は、Claude活用テクニック大全シリーズ第9回として、前回の「自己チェックさせる」に続く技術「評価者・最適化ループ」を、実際の業務場面をもとに解説します。

こんな場面はありませんか

ケンジさんの会社では、新規取引先向けの提案書のドラフトをClaudeに作らせています。最初の下書きは悪くないのですが、いつも「もっと良くしてください」と頼み直すことになります。これまで同じ提案書を3回書き直してもらったことがありますが、出てくるのは似たような言い回しの言い換えばかりで、決裁者の心を動かす一押しが見つかりません(あくまでイメージをつかむための一例です)。何が足りないのかを自分の言葉で説明するのも一苦労です。実はこの「良くして」の繰り返しには、Claudeにもう一つの役割を与えることで、改善の質そのものを変える方法があります。

公式ドキュメントを読み解く:評価者・最適化ループとは何か

出典:Anthropic Engineering Blog「Building Effective AI Agents」(2024年12月公開)Workflow: Evaluator-optimizer節(https://www.anthropic.com/engineering/building-effective-agents)。

公式ドキュメントはこの技術を、5つのワークフローパターンの1つとして次のように定義しています。

"In the evaluator-optimizer workflow, one LLM call generates a response while another provides evaluation and feedback in a loop."

訳すと、評価者・最適化ワークフローでは、1回のLLM呼び出し(Claudeとの1往復のやり取り)が回答を生成し、もう1回の呼び出しが評価とフィードバックをループ(基準を満たすまで繰り返す構造)の形で提供する、という意味です。つまり「Claudeに"作る役"と"評価する役"を別々にやらせ、合格するまで繰り返す」ということです。

これは第7回のプロンプトチェイニング(固定の手順に分けて進める設計)、第8回の自己チェック(1回の指示に一文添える軽量な方法)とは異なり、生成と評価を別々の指示に分け、基準を満たすまで往復させる点が本格的な違いです。

公式は、この技術が向く場面を次のように説明しています。

"This workflow is particularly effective when we have clear evaluation criteria, and when iterative refinement provides measurable value. The two signs of good fit are, first, that LLM responses can be demonstrably improved when a human articulates their feedback; and second, that the LLM can provide such feedback."

訳すと、このワークフローが特に効果的なのは、明確な評価基準があり、繰り返し磨き込むことに測定可能な価値がある場合です。目印は、人がフィードバックを言葉にすれば回答が明らかに改善すること、そしてClaude自身がそのフィードバックを出せることです。「評価基準」とは「決裁者に響く一押しがあるか」「価格の妥当性が数字で説明されているか」といった、良し悪しを判断できる具体的な観点のこと。基準がないまま「もっと良くして」と頼んでも、Claudeは言い回しを変えるだけの改善にとどまります。

対象製品はチャット・Cowork・Claude Codeいずれでも使え、同じ会話の中で「生成」と「評価」の指示を分けるだけで実践できます。なお公式は、Claudeが完了まで自分で動き続ける仕組みを「Agents(自律エージェント)」として別に定義しています。評価者・最適化ループ自体は人が段取りを決めて動かす「ワークフロー」ですが、Cowork・Claude Codeではこの往復をエージェントとして自律的に回すよう、一度の指示にまとめることもできます。

評価者・最適化ループ=作る役と採点する役を分けて繰り返す 生成が依頼を受けてドラフトを作成し、評価が基準で採点・指摘する。基準未達なら指摘をもとに修正し生成に戻る矢印でループし、合格したら完成に進む。 評価者・最適化ループ=作る役と採点する役を分けて繰り返す 生成 (提案書ドラフト作成) ①依頼 評価 (基準で採点・指摘) ②基準未達なら指摘をもとに修正 ③合格 完成 (基準達成) 評価基準を決めておくことで、書き直すたびに改善の方向がはっきりする
図:Claudeに「生成」と「評価」の役割を分けて依頼し、基準を満たさなければ指摘をもとに修正して生成へ戻す、というループを繰り返します。基準を満たしたら完成です。

このテクニックは何を解決するのか

この技術を使わない場合、提案書のような「良し悪しの基準があいまいな成果物」は、「もっと良くして」を繰り返しても改善が頭打ちになります。Claudeは何が足りないか推測するしかなく、毎回似たような言い換えに終わりがちです(冒頭の3回の書き直しがまさにこの状態です)。

評価基準を決めてClaudeに評価役をやらせると、「決裁者に響く一押しが弱い」「価格根拠の説明が浅い」といった具体的な指摘が返ってきます。この指摘をもとに直せば、書き直しのたびに改善の方向がはっきりします。

効果が出る条件は、公式の言う「評価基準を言葉にできること」です。基準を決められない成果物(好みが分かれる読み物など)では効果が薄く、提案書や見積書のように「何が揃っていれば良いか」を言語化できる作業ほど効きます。

実務でこう使う

【準備】最初に一度だけ:決裁者に響く提案書の評価基準を3〜5個決めておきます。例:①決裁者の課題への言及 ②価格の妥当性の数字での説明 ③他社との違いが1文で言えるか(あくまで一例です)。

【依頼】毎回:まず生成を依頼します。

新規取引先○○社向けの提案書ドラフトを作成してください。当社の強みは[強みを記載]、相手の課題は[課題を記載]です。Word形式で1,500字程度にまとめてください。

出てきたドラフトに、評価役として指示を出します。

あなたは提案書の審査を行う評価者です。今作成したドラフトを、先ほどの3つの基準で採点し、足りない点を具体的に指摘してください。

指摘が出たら「その指摘を反映して修正してください」と伝え、基準を満たすまで1〜2回繰り返します。

Cowork/Claude Codeならループごと任せられる

エージェントとして動くCowork・Claude Codeでは、この往復を1つの指示にまとめて任せられます。

新規取引先○○社向けの提案書ドラフトを作成し、先ほどの3つの基準で自己評価してください。基準を満たすまで、最大3回まで自分で修正を繰り返し、満たしたら理由とあわせて提出してください。

チャット(claude.ai)では1メッセージ内でこの自律ループは完結しないため、都度指示を出す先の手順が基本です。

今日から試せること

次に提案書や見積書を直させるときは、「もっと良くして」の代わりに、評価基準を3つ決めて「この基準で採点して」と頼んでみてください。評価基準づくりは、AI活用伴走支援でもご相談いただけます。

前回の「自己チェックさせる」から続けて読むと、1回の指示内で見直しまで閉じる技術と、生成・評価を分けて基準を満たすまで繰り返す本格的な技術の両方を押さえられます。連載の最初から読みたい方は「明確に伝える」・「理由を添える」・「見本を示す」・「長い資料の渡し方」・「出力の形を指定する」・「役割を与える」・「プロンプトチェイニング」もどうぞ。

※本記事はAnthropic公式ドキュメントを著者が読み解き、中小企業向けに翻訳・考察したものです。
※本記事はAIを活用して作成しています。