複数の種類が混ざる依頼を一括りでClaudeに処理させず、まず内容を判定させてから専用の対応方針に振り分ければ、カテゴリごとの精度を同時に確保できます。Anthropic公式ブログ「Building Effective AI Agents」が示す「ルーティング」を、実際の業務場面で解説していきます。
皆さんこんにちは!AIコンサルタント(中小企業診断士)の津田です。
今回は、Claude活用テクニック大全シリーズ第10回として、前回の「評価者・最適化ループ」に続く技術「ルーティング」を、実際の業務場面をもとに解説します。
こんな場面はありませんか
月に200件ほど届く問い合わせメールを、Claudeに「返信案を作って」とまとめて頼んでいませんか。価格確認、クレーム、技術的な質問——中身がまったく違う複数の種類が混在しているのに同じ1つの指示で処理させると、丁寧な詫びが必要なクレームに価格即答の口調が混ざったり、技術的な質問にマニュアルの引用がなかったりと、対応の質がぶれます。この「内容によって扱いを変える」判断自体をClaudeに任せる技術が、ルーティングです。
公式ドキュメントを読み解く:これはどんな技術か
出典:Anthropic Engineering Blog「Building Effective AI Agents」(2024-12-19公開、https://www.anthropic.com/engineering/building-effective-agents)のWorkflow: Routing節。
公式の定義はこうです。
"Routing classifies an input and directs it to a specialized followup task. This workflow allows for separation of concerns, and building more specialized prompts. Without this workflow, optimizing for one kind of input can hurt performance on other inputs."
"classifies an input"は「入力の種類を判定する」、"directs it to a specialized followup task"は「専用の後続作業に送る」、"separation of concerns"は「関心の分離」=カテゴリごとに気にすべき点を分けて考えられる状態です。つまりこう言っています。入力の種類をまず判定し、専用の指示に振り分ける技術であり、これをしないと「ある種類向けに最適化すると、別の種類の対応が崩れる」というトレードオフが起きる、ということです。
向く場面はこう述べています。
"Routing works well for complex tasks where there are distinct categories that are better handled separately, and where classification can be handled accurately, either by an LLM or a more traditional classification model/algorithm."
つまり、区別できる複数のカテゴリがあり、判定を正確に行えることが条件で、判定はClaude自身に行わせてもよく、キーワード振り分けのような従来の仕組みでもよいとされています。
第7回のプロンプトチェイニング(作業を順番の段階に分けて進める技術)は1つの入力を複数の段階に順番に通しますが、ルーティングは最初に1回だけ分類し、1つの経路に送ります。分かれ道で行き先を決める違いです。第20回のオーケストレーター・ワーカー(司令塔がタスクをその場で分解し複数の担当に割り振る技術)とも異なり、ルーティングは用意済みの数種類の型のどれに当てはめるかを決めるだけです。
公式の例は、問い合わせを種類別に分け、別の処理・指示・道具に送るというものです("Directing different types of customer service queries (general questions, refund requests, technical support) into different downstream processes, prompts, and tools.")。簡単な質問は低コストなモデル、難しい質問は高性能なモデルに振り分ける使い方も公式は挙げています。
このテクニックは何を解決するのか
ルーティングを使わないと、複数カテゴリをまたぐ1つの指示で処理する限り、どこかのカテゴリの精度が犠牲になります。丁寧さを強めればクレーム対応は良くなっても価格確認が回りくどくなり、簡潔さを強めれば逆の問題が起きます。使うとClaude自身がまず種類を判定し、専用の対応方針に沿って返信を作るため、カテゴリごとの精度を同時に確保でき、人が1件ずつ振り分ける手間もなくなります。効くのは対応の型が明確に異なる複数のカテゴリがあり、判定を誤りなく行える場合です。問い合わせの大半が実質1種類、または境界が曖昧な場合は効果が薄くなります。
実務でこう使う:具体例で見る
こんな場面を想定します
毎月200件ほど届く問い合わせメールを「価格確認」「クレーム」「技術的な質問」の3カテゴリに振り分け、異なる返信方針で文案を作りたい、しかし1件ずつ手作業で振り分ける時間がない、という場面を想定します。
このテクニックをこう使う
1件ごとのチャット(claude.ai)でも実践できます。分類と回答作成を1つの指示にまとめれば、Claudeが1回のやりとりで両方行います。件数が多く自動でまとめて処理したい場合は、Coworkでフォルダ内のメールを順に処理させます。
【準備】最初に一度だけ
作業フォルダ(またはチャットの最初のメッセージ)に、カテゴリの定義と対応方針を書いておきます。
- 価格確認:見積範囲内なら即答、範囲外は「担当者に確認します」を添える
- クレーム:最初に詫びと確認を書く。断定的な解決策はまだ書かない
- 技術的な質問:製品マニュアルの該当箇所を示してから回答する
【依頼】毎回:メール本文を貼り付けて、次のように依頼します。
このメール文面を上のルールに沿って3カテゴリのどれかに分類し、方針どおりの返信文案を作成してください。分類結果も一言添えてください。
今日から試せること
次に来た問い合わせへの返信を頼むとき、「まずこれは何のカテゴリか一言添えてから返信案を書いて」と伝えてみてください。対応方針の設計をどう組めばいいか分からない場合は、AI活用伴走支援でご相談いただけます。
前回の「評価者・最適化ループ」から続けて読むと、基準を満たすまで生成と評価を往復させる技術と、入力の種類でまず経路を分ける技術の両方を押さえられます。連載の最初から読みたい方は「明確に伝える」・「理由を添える」・「見本を示す」・「長い資料の渡し方」・「出力の形を指定する」・「役割を与える」・「プロンプトチェイニング」・「自己チェックさせる」もどうぞ。問い合わせメール対応の自動化をさらに掘り下げるなら「Claudeで顧客メールを分類×返信文案を自動生成」もあわせてどうぞ。
※本記事はAnthropic公式ドキュメントを著者が読み解き、中小企業向けに翻訳・考察したものです。
※本記事はAIを活用して作成しています。