簡単な確認と重要な判断を同じチャットでClaudeに頼んでいると、考える深さがかみ合わずに待たされたり、逆に浅い一言で済まされたりします。言葉で思考の深さを指定すれば、この調整は解決できます。

皆さんこんにちは!AIコンサルタント(中小企業診断士)の津田です。

今回は、Claude活用テクニック大全シリーズ第11回として、Claudeがどれだけ考えてから答えるかを言葉で調整する技術を、実際の業務場面をもとに解説します。

こんな場面はありませんか

毎週の請求書チェックのように「一覧から該当するものを抜き出すだけ」の簡単な確認と、月に一度の業務委託契約書のリスクチェックのように「複数の条項を見比べながら慎重に判断する」重い仕事を、同じチャットでClaudeに頼んでいませんか。前者は数秒で答えてほしいのに考え込まれて待たされ、後者はもっと時間をかけて検討してほしいのに、思ったよりあっさりした一言で返ってくる——この「考える深さ」がかみ合わない感覚を覚えたことがあるなら、それは偶然ではありません。Claudeがどれだけ考えてから答えるかは、実は調整できる技術です。

公式ドキュメントを読み解く:これはどんな技術か

出典:Claude Platform Docs「Prompting best practices」(https://platform.claude.com/docs/en/build-with-claude/prompt-engineering/claude-prompting-best-practices)Thinking and reasoning章「Leverage thinking & interleaved thinking capabilities」節。

公式の定義はこうです。

"Claude...use adaptive thinking...where Claude dynamically decides when and how much to think...Claude calibrates its thinking based on two factors: the effort parameter and query complexity. Higher effort elicits more thinking, and more complex queries do the same."

"adaptive thinking"は「適応的思考」=必要なときだけ内部で考える仕組みです。"query complexity"は「質問の複雑さ」です。つまり、Claudeは質問の複雑さを自分で見極め、簡単な質問はすぐ答え、複雑な質問には内部で考えてから答える、という調整を自動で行っている、ということです。

公式はこの調整が指示文でも変えられるとし、次の例を示しています。

"Thinking adds latency and should only be used when it will meaningfully improve answer quality - typically for problems that require multistep reasoning. When in doubt, respond directly."

"latency"は「待ち時間」、"multistep reasoning"は「複数段階の判断」です。つまり、答えの質が明らかに良くなる場合だけ考え、迷ったらすぐ答えてほしいと伝えれば、長考を減らせる、ということです。

深く考えさせると具体的に何が変わるかを、公式はeffort(考える量・作業量を指定する開発者向け設定)の項でこう述べています。

"Higher effort levels may: Make more tool calls...Explain the plan before taking action...Provide detailed summaries of changes..."

"make more tool calls"は「確認・検証を複数回に分けて行う」、"explain the plan before taking action"は「実行前に進め方を説明する」という意味です。つまり、深く考えさせると一度で済ませず複数の角度から確認し、進め方や変更点を丁寧に説明してくれる、ということです。逆に浅くさせる場合、公式は「combine multiple operations into fewer tool calls」「proceed directly to action without preamble」と述べ、確認をまとめて短く済ませ説明なしにすぐ実行するとしています。契約書レビューで「しっかり検討して」と伝えると、この複数確認の動きが見落としを減らす、という具体的なメリットです。

複雑な作業で検討を繰り返す「考えすぎ」については、やり方を一つ決めたら矛盾する新情報が出ない限り検討し直させないと伝える例も公式は挙げています。第8回の自己チェック(答えを出した後の見直し)とは異なり、今回は答えを出す前の検討の深さを調整します。

この自動調整はチャット(claude.ai)・Cowork・Claude Codeいずれでも動いており、思考の深さを言葉で調整するプロンプト文もどの製品でも使えます(effort等の数値設定はAPI開発者向けのため通常操作では触れません)。

依頼の複雑さに応じて思考の深さが分かれる 依頼が簡単な確認と複雑な判断に分岐し、複雑な判断だけが「じっくり検討(思考)」を経由して回答に至るフロー図。 依頼 簡単な確認 すぐに回答 複雑な判断 じっくり 検討(思考) 回答
図:依頼が「簡単な確認」と「複雑な判断」に分かれ、複雑な判断だけが「じっくり検討(思考)」を経由して回答に至ります。

このテクニックは何を解決するのか

このテクニックを使わないと、簡単な確認作業でも毎回考え込まれて待たされたり、逆に本当にじっくり検討してほしい契約書レビューのような重要な判断が、確認を1回で済ませた浅い一言で終わってしまったりします。どちらも気づきにくく、「待たされる割に中身が薄い」という不満につながります。言葉で深さを指定すれば、簡単な確認は確認をまとめて素早く終わらせ、重要な判断は複数の角度から確認と説明を重ねて見落としを減らす、とメリハリをつけられるのが、このテクニック固有の価値です。効くのは、日常的に「簡単な確認」と「重要な判断」の両方が混在する業務がある会社です。単純作業ばかり、またはすべてが重大な判断ばかりの会社では、調整の効果は限定的です。

実務でこう使う:具体例で見る

こんな場面を想定します

毎週の請求書一覧(20件程度)から支払期限超過を確認する簡単な作業と、月1回、業務委託契約書(A4・12ページ程度)のリスク条項をチェックする重い作業を、同じチャットでClaudeに頼んでいる場面を想定します。

このテクニックをこう使う

チャット(claude.ai)でもそのまま使えます。

【準備】最初に一度だけ
Projectのカスタム指示(またはCLAUDE.md。毎回の前提を書いておくファイルで、第13回で詳しく扱います)に、考える深さの目安を書いておきます。

簡単な確認作業はすぐに回答してください。契約書レビューなど複数の視点を検討する依頼は、時間をかけてでも慎重に検討してから回答してください。

【依頼】毎回

簡単な作業:「添付の請求書一覧(20件)のうち、本日時点で支払期限を過ぎているものを教えてください。すぐに回答して構いません。」

重要な判断:「添付の業務委託契約書(A4・12ページ)を、当社に不利な条項がないか複数の視点から慎重にレビューしてください。支払条件・解除条項・秘密保持義務を確認し、気になる箇所は該当条項を引用して理由を添えてください。」

今日から試せること

次にClaudeに何か頼むとき、それが「簡単な確認」か「複数の視点で検討すべき重要な判断」かを一言添えてみてください。使い分けに迷ったら、AI活用伴走支援の無料相談でご相談いただけます。

前回の「ルーティング」から続けて読むと、入力の種類でまず経路を分ける技術と、答えを出す前の検討の深さを調整する技術の両方を押さえられます。連載の最初から読みたい方は「明確に伝える」・「理由を添える」・「見本を示す」・「長い資料の渡し方」・「出力の形を指定する」・「役割を与える」・「プロンプトチェイニング」・「自己チェックさせる」・「評価者・最適化ループ」もどうぞ。

※本記事はAnthropic公式ドキュメントを著者が読み解き、中小企業向けに翻訳・考察したものです。
※本記事はAIを活用して作成しています。