見積書を作るたびに書式ルールを説明し直す手間は、Agent Skillsという仕組みにあらかじめ手順を教え込んでおくだけでなくなります。Claude公式ドキュメントが示す「Agent Skills」というこの仕組みを、実際の業務場面で解説していきます。

皆さんこんにちは!AIコンサルタント(中小企業診断士)の津田です。

今回は、Claude活用テクニック大全シリーズ第14回として、前回の「CLAUDE.md」に続く技術「Agent Skills」を、実際の業務場面をもとに解説します。

公式ドキュメントを読み解く:これはどんな技術か

出典:Claude Platform Docs「Agent Skills」(https://platform.claude.com/docs/en/agents-and-tools/agent-skills/overview)。2026年8月時点で内容を確認しました。

公式の定義は次のとおりです。

"Each Skill packages instructions, metadata, and optional resources (scripts, templates) that Claude uses automatically when relevant."

"packages instructions, metadata, and optional resources"は手順書・見出し情報・必要な雛形やスクリプトをひとまとめにしたもの、"uses automatically when relevant"は関係する依頼のときにClaude自身が自動で使う、という意味です。つまりAgent Skillsとは、業務ごとの手順書をパッケージ化しておき、該当する依頼が来たときだけClaudeが自分の判断で呼び出す仕組みです。

これは前回(第13回)解説したCLAUDE.mdとは読み込まれ方が違います。公式は次のように説明します。

"Skills load on demand, so you don't have to repeat the same guidance across conversations."

"load on demand"は必要になったときだけ読み込まれる、という意味です。CLAUDE.mdは会話の最初に必ず全部読み込まれる「常備の前提」であるのに対し、スキルは名前と説明文だけが常に読み込まれ(公式によれば1件あたり約100トークン=Claudeが文章を数える単位で、ごく小さな分量)、手順書本体は該当する依頼が来て初めて読み込まれます。複数の定型業務を抱える場合、すべてをCLAUDE.mdに書くと無関係な依頼でも読み込まれ続けますが、スキルに分けておけば使う場面だけで呼び出されます。

利用できる場所は業務で異なります。既製の文書作成スキル(PowerPoint・Excel・Word・PDF)はclaude.ai・APIなどで既に有効です。自作のカスタムスキルは、claude.aiでは設定「機能」からZIPアップロード(有料プランでコード実行が有効な場合)、Claude Codeとその仕組みを土台にするCoworkでは.claude/skills/フォルダに「SKILL.md」を置くだけで自動的に使われます。この記事自体も、複数のスキルが自動で呼び出される環境で書かれています。

常に読み込まれるのは名前と説明文だけで、該当するスキルだけが呼び出される仕組み 見積書スキル・NDAスキル・議事録スキルの説明文だけが常時読み込まれ、依頼内容と照合して該当する見積書スキルだけが手順書本体を展開し、他の2つは呼び出されない様子を対比する図。 常に読み込まれるのは「名前+説明文」だけ 見積書スキル 説明文のみ(軽量) NDAスキル 説明文のみ(軽量) 議事録スキル 説明文のみ(軽量) 依頼「A社向けに見積書を作って」→ 説明文と照合 → 該当スキルのみ呼び出す 見積書スキルの手順書を読み込み 税抜表示/納期は備考欄/ 有効期限30日を末尾に記載 この依頼のときだけ本文を展開 NDAスキルは 呼び出されない 議事録スキルも 呼び出されない
図:見積書・NDA・議事録の3つのスキルは説明文だけが常時読み込まれ、依頼内容と一致した見積書スキルだけが手順書本体を展開します。

このテクニックは何を解決するのか

このテクニックを知らないと、同じ書式ルールを依頼のたびに打ち込み直す手間が発生し、書き忘れると見積書の体裁がバラつきます。かといって、すべてのルールをCLAUDE.mdに詰め込むと、見積書と無関係な依頼のときにも常に読み込まれ続けます。スキルとして切り出しておけば、該当する依頼のときだけ自動で呼び出され、無関係な依頼では読み込まれずコンテキスト(Claudeが一度に扱える情報量)を圧迫しません。これは公式が明記する仕組みであり、CLAUDE.mdをどれだけ工夫しても得られない、スキル固有の利点です。効果が出るのは、見積書・NDA・議事録フォーマットなど、使う場面が限られた定型業務を複数抱えている会社です。ルールが1つしかない、または毎回必ず使う前提なら、CLAUDE.mdで十分です。

実務でこう使う:具体例で見る

こんな場面を想定します

月10件ほど見積書を作成しており、税抜表示・納期は備考欄・末尾に有効期限30日という自社ルールを、依頼のたびに説明し直している場面を想定します。

このテクニックをこう使う(ここからはCowork・Claude Codeでの手順です。claude.aiでは設定「機能」からSKILL.mdをZIP化してアップロードすれば同様に使えます)

【準備】最初に一度だけ
プロジェクトフォルダの.claude/skills/quote-format/にテキストエディタで「SKILL.md」を作り、書式ルールを書いておきます。

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name: quote-format
description: 自社指定の書式で見積書を作成する。見積書・お見積りの作成を依頼されたときに使う。
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# 見積書フォーマット
- 金額は税抜表示にする
- 納期は備考欄に明記する
- 末尾に「本見積の有効期限は発行日より30日間です」を記載する

【依頼】毎回
「A社向けに品目〇〇・数量〇〇・単価〇〇円で見積書を作ってください」と頼むだけです。Claudeが依頼内容と説明文を照合し、自動でスキルを呼び出して適用します。

今日から試せること

同じルールを毎回打ち込んでいる業務があれば、SKILL.mdに書き出してみてください。迷ったらAI活用伴走支援の無料相談へどうぞ。

前回の「CLAUDE.md」から続けて読むと、毎回の前提を書いておく技術と、得意技をあらかじめ教え込む技術の両方を押さえられます。連載の最初から読みたい方は「明確に伝える」・「理由を添える」・「見本を示す」・「長い資料の渡し方」・「出力の形を指定する」・「役割を与える」・「プロンプトチェイニング」・「自己チェックさせる」・「評価者・最適化ループ」・「ルーティング」・「考えさせる・急がせる」・「コンテキスト管理」もどうぞ。

※本記事はAnthropic公式ドキュメントを著者が読み解き、中小企業向けに翻訳・考察したものです。
※本記事はAIを活用して作成しています。