四半期の経営会議に向けて報告書を仕上げようとしたことはないでしょうか。①競合3社の動向調査 ②売上データの集計とグラフ化 ③報告書本文の執筆、という3つの作業を同じ会話でClaudeに一度に頼むと、調査結果や集計の途中経過が会話に積み上がり、報告書の文章が埋もれて見つけにくくなります。これは、作業ごとに専門の担当へ仕事を割り振る「サブエージェント」という機能で解決できます。

皆さんこんにちは!AIコンサルタント(中小企業診断士)の津田です。

今回は、Claude活用テクニック大全シリーズ第19回として、作業ごとに専門の担当を立てて仕事を割り振る「サブエージェント」を、実際の業務場面をもとに解説します。

公式ドキュメントを読み解く:サブエージェントとは何か

出典はClaude Code公式ドキュメント「Create custom subagents」(https://code.claude.com/docs/en/sub-agents)です。

公式は次のように定義します。

"Subagents are specialized AI assistants that handle specific types of tasks. Use one when a side task would flood your main conversation with search results, logs, or file contents you won't reference again: the subagent does that work in its own context and returns only the summary."

side task(付随作業)がyour main conversationをflood(会話を情報で埋め尽くす)してしまうなら、its own context(専用の作業スペース。第12回のコンテキストウィンドウにあたります)を持つ担当に任せ、summary(結論)だけ受け取ればよい、という意味です。

続けて次のようにも述べます。

"Each subagent runs in its own context window with a custom system prompt, specific tool access, and independent permissions. When Claude encounters a task that matches a subagent's description, it delegates to that subagent, which works independently and returns results."

system prompt(役割を書いた指示書)を持つ担当に、内容が合う作業をClaude自身が判断してdelegate(割り振る)、という意味です。

第20回で扱う「オーケストレーター・ワーカー」は司令塔役が作業を分解し割り振る設計パターン(考え方)、サブエージェントはそれをCowork・Claude Codeで動かす機能(実装)です。割り振り方を人間がすべて固定で決めれば、それは並行処理であって「振り分けの判断をAI自身に任せる」中核構造ではなくなります。

さらに、次のようにあります。

"For independent investigations, spawn multiple subagents to work simultaneously...Each subagent explores its area independently, then Claude synthesizes the findings."

関係のない調査なら複数の担当を同時に立ち上げ、それぞれの結果をClaudeが最後にまとめる、という意味です。

対象製品は、チャット(claude.ai)にはこの機能がなく、Claude CodeとCoworkが前提です。Claude Codeでは、プロジェクトフォルダの中にある.claudeという設定用の特別なフォルダ(第13回で解説したCLAUDE.mdと同じ場所にあり、Claude Code用のさまざまな設定をまとめて置く場所です)の中のagentsフォルダに、担当ごとの指示書を自分でファイルとして用意します。一方Coworkでは、こうしたファイルを自作しなくても最初から使える担当がいくつか用意されており、その代表が「Explore」(ファイル検索やコード調査など、読むだけの調査に特化した担当)と「general-purpose」(調査から実作業まで複数手順を含む複雑な作業を任せられる担当)です。Coworkではこれらの担当をそのまま指示に使えるため、事前の設定は不要です。

サブエージェントの構造図 メインの会話から競合調査担当・売上集計担当・報告書執筆担当の3つのサブエージェントへ依頼が割り振られ、各担当が専用の作業スペースで処理したうえで結論だけを会話に返す流れを示す図。 メインの会話 経営会議資料をまとめたい 競合調査担当 専用の作業スペース (大量の調査結果) 売上集計担当 専用の作業スペース (集計の途中経過) 報告書執筆担当 専用の作業スペース (下書きの試行錯誤) 依頼 依頼 依頼 結論だけを会話に返す(途中経過は残らない) 3つの作業を同時に進めても、会話には結論しか残らないため報告書の確認に集中できる
図:メインの会話から3つの担当へ作業が割り振られ、各担当は自分専用の作業スペースで処理したうえで、結論だけを会話に返します。

サブエージェントは何を解決するのか

3つの作業を同じ会話でClaudeに一度に頼むと、調査結果や集計の途中経過がそのまま会話に書き出され続け、報告書の文章が埋もれます。会話が長くなるほどClaudeの回答の精度も落ちます(第12回で触れたコンテキスト劣化と同じ構造です)。一方、あなたが調査・集計・執筆をそれぞれサブエージェントに割り振るよう頼めば、各担当のサブエージェントは自分専用の作業スペースの中だけで処理を進め、結論だけを会話に返します。あなたが目にする会話には結論しか残らないため、報告書の確認に集中できます。独立した調査であれば複数のサブエージェントを同時に動かせるため、あなたが一つずつ順番に頼むより早く終わります。効く条件は、①複数の作業が互いに情報のやりとりを必要とせず独立している ②あなたが途中経過を見返す必要がない、の2つです。逆に、前工程の細かい文脈を次の工程に渡す必要がある一連の作業(見積書の項目整理→積算→文章化)では、手順を区切って順番に渡す、第7回で解説したプロンプトチェイニング(各作業を順番につなげて渡す方法)の方が向きます。

実務でこう使う:具体例で見る

先ほどの経営会議資料の場面で考えます。競合3社の動向調査、売上データの集計・グラフ化、報告書本文の執筆という3つの作業を、Cowork上で一度に進めたいとします。

ここからはCowork・Claude Codeでの手順です。

【準備】最初に一度だけ
Claude Codeは.claude/agents/に指示書を用意します。競合調査.mdに「指定企業の直近3ヶ月の報道を調べ、変化点を3つに絞って報告してください」と書き、売上集計.md報告書執筆.mdも同様に作ります。Coworkは「Explore」「general-purpose」が用意されているため準備は不要で、資料を作業用フォルダに置くだけです。

【依頼】毎回

「競合A社・B社・C社の直近3ヶ月の動向を、競合調査担当のエージェントで同時に調べてください。並行して、売上データ.xlsxを集計・グラフ化担当のエージェントに任せてください。両方がまとまったら、報告書執筆担当のエージェントに、Word形式で3ページの四半期報告書をまとめさせてください。」

今日から試せること

まずは議事録づくりのような「あとで見返さない調査・整理作業」を1つ選び、「サブエージェントに任せて、結論だけ報告して」と頼んでみましょう。会話が驚くほどすっきりします。

こうした複数の担当への任せ方を自社の業務にどう組み込めばよいか分からない場合は、AI活用伴走支援やMiraizConceptでの構想整理から一緒に考えることもできます。

前回の「MCP」から続けて読むと、社内外のシステムとつなぐ共通規格と、作業そのものを担当ごとに分ける仕組みの両方を押さえられます。連載の最初から読みたい方は「明確に伝える」・「理由を添える」・「見本を示す」・「長い資料の渡し方」・「出力の形を指定する」・「役割を与える」・「プロンプトチェイニング」・「自己チェックさせる」・「評価者・最適化ループ」・「ルーティング」・「考えさせる・急がせる」・「コンテキスト管理」・「CLAUDE.md」・「Agent Skills」・「メモリ」・「ツール利用」・「Web検索・コード実行」もどうぞ。

※本記事はAnthropic公式ドキュメントを著者が読み解き、中小企業向けに翻訳・考察したものです。
※本記事はAIを活用して作成しています。